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無罪を勝ち取った産経前ソウル支局長の手記から日本人は何を感じるべきか

 

 韓国の朴槿恵大統領に対する名誉毀損容疑で起訴され、1年半にわたる法廷闘争の末、無罪を勝ち取った産経新聞前ソウル支局長の手記が話題となっている。
 今回の法廷闘争は民主主義が根付いていない韓国社会の未熟さを浮き彫りにしたが、日本にとっては他山の石とすべきテーマである。

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 加藤達也前支局長は、韓国メディアからの引用という形で、客船「セウォル号」沈没事故が起きた際、朴大統領が元側近の男性と会っていたという噂話を紹介した。もともとの記事を書いたのは韓国メディアだが、韓国の検察は加藤氏の方を起訴し法廷闘争となった。
 ソウル中央裁判所が最終的に無罪を言い渡したことで、韓国の民主主義はギリギリのラインで守られたことになる。

 加藤氏は手記の中で「私はあなたの無罪を信じていました」と声をかけられたエピソードを紹介し、韓国人の中にも良識的な人はたくさんいるとしている。しかし、こうした声は全体の雰囲気にかき消され、社会に反映されない。

 個人的には良識的な人が多いのに、社会全体、組織全体になると冷静な判断ができないというのは、息苦しく、法が徹底されない韓国社会の特徴といってよいだろう。
 だが、個人的にはいい人なのに、集団になるとおかしくなるというこの論理、どこかで聞いたことはないだろうか。ほかでもない日本のことである。

 日本は太平洋戦争という失態を演じてはいるものの、大正デモクラシー以来の長い民主主義の伝統を持つ国である。韓国はつい最近まで軍事独裁政権だったことを考えると、日本が韓国より民主主義が発達しているのは、当たり前のことである。

 しかし、韓国や中国のような新興国を対象とするのではなく、民主主義が確立している「先進国」の中で比較した場合、日本の成熟度は低く、法よりも情が優先される社会であるのは事実だ。また個人の良識が組織や国家に反映されにくいという点でも同じである。

 日本は、本来であればアジア地域において、各国に対して民主化を指導する立場だったはずである。しかし最近では、国際社会から日本における人権問題を指摘されるケースが増えており、状況はむしろ後退している。

 今回の事件は、まさに他山の石(他人の粗悪な行動やつまらない出来事であっても、自分を磨く材料にすること)であり、日本の民主主義を再点検するよい機会とすべきだろう。

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