ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日本は再び財政出動路線に転換?著名学者が「構造改革」というキーワードに躊躇

 

 中国・上海で開催されていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は27日、あらゆる政策手段を用いるという共同声明を採択して閉幕した。
 すでに財政再建を達成した米国やドイツにとっては、大規模な財政出動も有力な選択肢となるが、困った状況に追い込まれたのが日本である。莫大な政府債務を抱え、日本には財政出動の余力がないからである。

itotaka

 もっとも官邸の一部では、こうした状況はお構いなしのようである。数字が悪くなることが確実な2016年1~3月期のGDPの発表後というタイミングで大規模な財政出動の実施が計画されている模様だ。ブリーフィングを受けたと思われる一部のエコノミストや大手メディアが同じタイミングで、ほぼ同様の説明をしていることからも、それを伺い知ることができる。

 財政出動が効果を発揮せず、借金の山を作ってしまったという反省から、小泉内閣では構造改革が実施された。しかし構造改革は、国民からの反発で頓挫。これに代わる政策として登場してきたのが量的緩和策である。
 もし量的緩和策の効果に限界があるなら、もはや打つ手はなくなってしまうはずだが、なぜか再び、財政政策が注目されるという奇妙な状況となっている。

 そのような中、テレビ番組でちょっとしたハプニングがあった。量的緩和策を支持してきた経済学者である伊藤隆敏コロンビア大学教授は、ある経済番組に出演し、G20の共同声明について解説していた。
 供給力が増大しないという問題は金融政策では解決できないという氏の解説に対して、アナウンサーがすかさず「やはり財政でしょうか?」と質問。アナウンサーは経済学における需要と供給の関係がよく飲み込めていなかったのかもしれない。
 伊藤氏が言葉に詰まってしまったのはこのタイミングである。「いや、そうではなく」と言った後、数秒の時間が経過し、小さな声で「構造改革が必要ということです」と続けた。

 経済構造が時代に合わないまま金融政策を実施しても効果が薄いことはある意味で常識である。量的緩和策が思ったほど効果を発揮しなかった理由はそこにある。しかし、日本経済はすでに個人消費が弱体化するほど弱ってきており、このタイミングで、痛みを伴う改革を実施するのはもはや不可能だろう。

 結局は、再び安易な財政政策に戻るという状況になっているわけだが、この政策は確実に将来における金利上昇という深刻な副作用をもたらすことになる。

 伊藤氏が「構造改革」という言葉に詰まったのは、世論を気にしてのことなのか、もはや実施は不可能と考えているからなのかは不明である。だが、これまで積極的に構造改革を主張してきた学者が、発言に躊躇するようでは、この選択肢は存在しなくなったと考えた方がよいだろう。投資家にとっては、日本の財政がさらに悪化することは不可避と考えた方がよさそうだ。

 - 経済 , ,

  関連記事

softbankson02
ソフトバンクの孫社長が後継者を指名。通信事業から再びネット事業に回帰?

 ソフトバンクは2015年5月11日、2015年3月期の決算を発表した。出資する …

kiyosaki
金持ち父さん(倒産)、貧乏父さん(倒産)のキヨサキ氏の会社が倒産

 「金持ち父さん 貧乏父さん」などの著書で知られる、ロバート・キヨサキ氏の会社が …

imf201501
IMFが2015年の世界経済見通しを発表。米国だけが大幅上方修正

 IMF(国際通貨基金)は2015年1月20日、世界経済見通しを発表した。201 …

no image
メガバンクとゆうちょ銀行で不正画面誘導が多発。だが本当に危惧されることとは?

 ネット銀行のホームページに不正が画面が表示され、パスワードなどが盗まれて不正送 …

ecbdoragi
ECBがとうとう量的緩和策を導入。効果があるのはドイツだけ?

 ECB(欧州中央銀行)は2015年(ECB)は22日、とうとう量的緩和策の導入 …

okane003
日本の対外純資産が円安で大幅増大。今後の課題は投資利回りの向上だ

 財務省は5月28日、2012年末の対外資産・負債残高を発表した。それによると日 …

home02
米国の政府系住宅金融公社2社が業務縮小を決定。米国のバブル処理は完全終了へ

 オバマ米大統領は8月5日、住宅金融市場の改革案を発表した。政府系住宅金融機関で …

goan
ルノーの労使交渉で露呈した、ゴーン会長が受け取る巨額報酬の真相。

 欧州経済の低迷を受けて業績不振が続く仏ルノーのカルロス・ゴーン会長は、現在難航 …

nenkinportfo
公的年金の新ポートフォリオ、年間最大損失21兆円をどう見る?

 公的年金の運用が国債から株式にシフトしつつあるが、現在想定されているポートフォ …

zenjindai2014
中国で全人代が開催。中国が抱える問題はバブル後の日本にさらに酷似

 中国における今後1年間の重要政策を議論する全人代(全国人民代表大会)が2014 …