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指名獲得に近づいたトランプ候補。驚くべきことに、政策をよく見るとオバマ政権にそっくり

 

 米大統領選における序盤のヤマ場といわれるスーパーチューズデーで、共和党のトランプ候補が指名獲得に向けて大きく前進した。数多くの差別発言などから、当初はお騒がせ候補という位置付けだったが、ここにきて、党内の一部からはトランプ氏が本選に出ることを前提にした動きも見られるようになってきた。

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 トランプ氏が本当に共和党の候補者になった場合、気になるのはトランプ氏が具体的にどのような政策を掲げるのかという点である。トランプ氏は移民や女性に対する差別的発言ばかりが目立ち、肝心の政策についてはあまり報道されていない。

 しかしトランプ氏のこれまでの発言を振り返ってみると、政策的には、実は現職のオバマ大統領にそっくりという意外な状況となっている。

 共和党は伝統的に資本家層からの支持が厚いため、基本的に小さな政府を掲げる政治家が多い。しかしトランプ氏の連邦政府に対する考え方は異なっている。トランプ氏は社会保障の拡充や国内インフラの整備、富裕層への課税といった発言を繰り返しており、どちらかというと大きな政府を目指しているように見える。

 特に年金や医療保険制度については、これまでの共和党とのスタンスとは正反対である。オバマ大統領は、米国では初めてとなる国民皆保険制度(いわゆるオバマケア)を導入したが、トランプ氏はこれを継承するように見える。しかもトランプ氏は同姓婚や人工中絶に対しても反対しておらず、どちらかというリベラル寄りのスタンスに立っている。

 外交政策についても同様だ。共和党の中には、中東問題やアジア問題など、国際問題に対しては積極的に関与すべきと主張する政治家が多い。これは民主党も同じで、積極外交は現代米国における主流派的な価値観といってよい。

 近年の大統領で唯一の例外がオバマ大統領で、オバマ氏はどちらかというと孤立主義である。中東問題には関与せず、米国は単独でやっていけばよいという方向性を明確にしている。オバマ氏は実際、史上最大規模の軍縮を行い、中東から多数の米軍を撤退させた。

 トランプ氏は強いアメリカというイメージは演出しているが、日米安保条約の見直しに言及したことに加え、中東問題に対して距離を置くなど、孤立主義的な姿勢が見られる。実はこうした点もオバマ政権にそっくりである。

 人種差別的な発言を取り払えば、実はトランプ路線は、オバマ路線をそのまま継承するような形になっているのだ。問題発言にもかかわらず、意外なほど支持を得ることができている背景にはこうした部分も影響しているのかもしれない。

 トランプ氏の路線とオバマ氏の路線が似てくる背景には米国が置かれた現状がある。米国はシェールガスの開発によって世界最大の産油国となった。天然ガスなどを含めたエネルギー全体で見ると、米国はエネルギーの完全自給がほぼ可能となっており、中東の石油に頼る必要がなくなっている。米国は単独で国家を運営することが可能となった。

 こうしたマクロ的な環境が、孤立主義を実現できる基礎的条件となっており、この認識はオバマ政権でもトランプ候補でも共有されている。万が一、トランプ氏が大統領になり、米国が孤立主義を強めた場合、日本への影響は甚大だろう。米国はもしかすると、新モンロー主義の時代に向かおうとしているのかもしれない。

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