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現実味を帯びる同一労働、同一賃金。結局は若年層正社員の賃下げに?

 

 これまで導入が極めて難しいといわれてきた、同一労働、同一賃金が現実味を帯びてきた。だが、現在の終身雇用システムを維持したまま、この制度を導入することの弊害は大きい。実際に導入された場合、どのような影響が出てくるのか、予想するのは難しい。

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 安倍首相は今国会の施政方針演説において同一労働、同一賃金について言及し、5月にまとめる「ニッポン1億総活躍プラン」にこのテーマを盛り込むことについて具体的な検討を開始した。

 現在、日本の一般的な企業は、職能給と呼ばれる制度を採用している。これは、終身雇用を前提としたもので、勤続年数に合わせて給料が増えてくるという仕組みである。したがって、非正規労働者と勤続年数の長い労働者が同じ仕事をしていても、非正規労働者の方が安くなる。

 また最近は、終身雇用制度を維持するため、非正規社員への待遇を著しく下げて人件費を捻出する企業も多く、正社員と非正規社員の格差は容認できない水準まで拡大している。政府としては、まず非正規社員の待遇改善を視野に、この制度の導入を進めたい意向だ。

 だが、非正規社員の待遇をよくすれば問題が解決するのかというと、そう簡単にはいかない。非正規社員の賃金は、企業の安易なコスト削減の対象であったことから、これを増やしてしまうと企業の利益が一気に減ってしまうからだ。アベノミクスは、企業の増収が続いていることを拠り所の一つとしており、減収というシナリオは避けたいところだろう。

 経済メカニズム的には、日本企業が終身雇用制度を放棄すれば、この問題の多くは解決する可能性が高い。勤続年数に応じて、全員に昇給を続けていく必要がなくなるので、必要な仕事には相当の対価が支払われ、そうでない仕事には、雇用形態にかかわらず高い賃金は支払われなくなる。

 だが、日本企業の経営者はほとんどが従業員出身であり、年功序列によってトップに就任している。こうしたサラリーマン経営者が、一種の特権と化している終身雇用制度を放棄するとは思えない。
 終身雇用制度を残したまま同一労働、同一賃金を導入すれば、あちこちに歪みが出てくることになる。場合によっては、非正規社員の賃金に引きずられる形で若年層労働者の賃金がさらに下がるケースも出てくるだろう。

 究極的には、終身雇用制度を守りたいのであれば、若年層を中心にさらなる賃金の引き下げを受け入れるしかないという選択になってしまうかもしれない。聖域といわれていたこの分野が動き始めるのかどうかは、官邸の本気度にかかっている。

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