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スティグリッツ氏の主張は実はアベノミクスと正反対。それでも来日した理由とは?

 

 安倍首相が、世界的な経済学者を次々に官邸に呼んで会談を行っている。永田町では消費増税再延期の布石との見方がもっぱらであり、実際、2人のノーベル賞学者は増税再延期を提言している。
 だが、両氏はリベラル派の経済学者であり、実は安倍政権との方向性は異なる。特にスティグリッツ氏は、均衡財政乗数論者であり、量的緩和策一辺倒というわけではない。スティグリッツ氏は実際、安倍首相に何を言ったのだろうか。

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 政府は16日から、国際金融経済分析会合を開催しており、第1回目の会合には、スティグリッツ米コロンビア大教授が招かれた。スティグリッツ氏は、かつてアベノミクスを支持したことで知られているほか、消費増税に否定的といわれる。安倍首相としては、世界的権威の学者に消費増税再延期を提案させることで、その布石にするとの見方がもっぱらである。

 一般的にはスティグリッツ氏はアベノミクスの支持者と言われているが、それはあくまでも、アベノミクスの中に財政出動が入っているからである。

 スティグリッツ氏は、リベラルな経済学者であり、基本的に均衡財政乗数論者である。財政再建や金融政策、法人税の減税、TPPの締結などについては否定的であり、公共事業による需要創造を政策の基本としている。実は従来のアベノミクスとは正反対の主張なのだ。
 今回の会合で提出された資料にもこうしたスティグリッツ氏の主張が全面的に展開されている。

 それでも官邸がスティグリッツ氏を呼んだのは、日本では彼はアベノミクスの支持者であるとのイメージが強く、彼に消費増税再延期を提言させれば世論を動かせると踏んでいるからだろう。

 おそらく、スティグリッツ氏自身もそのことをよく理解しているはずだ。そうであればこそ、提出資料という記録に残るものには、アベノミクスとは正反対の主張が並び、世間の注目が集まる消費増税の再延期については、何度もコメントで主張する形になっている。

 消費税再延期の地ならしをしたい官邸と、日本での知名度を高め、今後の影響力維持を狙いたいスティグリッツ氏の利害が一致したということなのだろう。

 一方、そうではないとの見方もある。官邸の一部に、強力な財政出動を目指す動きがあり、こうした流れを確立するためにスティグリッツ氏を呼んだという解釈である。

 もし今後、経済政策を財政出動型に変えるということになると、量的緩和策との整合性という問題が出てくるほか、当然のことながら、政府債務問題が再び議論の俎上に上ることになる可能性が高い。
 日本の場合、スティグリッツ氏が主張するような、合理主義的な財政出動はほとんど期待できない可能性が高く、実現した場合には、問題はより複雑になるかもしれない。

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