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トランプ氏が何と日本の核保有に言及。日米同盟は所与のものではなくなりつつある

 

 米共和党のトランプ候補がとうとう日本の核武装について言及した。どこまで現実的な話なのかは不明だが、米国の核不拡散体制を所与のものとしてきた日本にとっては、大きなインパクトである。

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 トランプ氏は、ニューヨークタイムズ紙とのインタビューで「米国は世界の警察官ではない」と述べ、将来的に日本や韓国における核の保有はあり得るという主旨の発言を行った。
 また同時に在日米軍についても言及し、米国は在日米軍のために過大な負担を強いられているとして、日本側が負担の増額を拒んだ時には、米軍の撤退もあり得るとの見解を示した。これらは、戦後米国が掲げてきた安全保障政策とは180度異なる内容である。

 米国は第二次大戦における主要戦勝国(米、英、露、中、仏)以外が、核兵器を保有することを禁じ、核技術が世界に拡散しないよう対処する「核不拡散体制」を構築してきた。

 非同盟政策を掲げるインドについては、旧ソ連封じ込めのため例外的に核開発を黙認してきたが、核不拡散体制に意義を唱え、独自の核開発を行う国(北朝鮮やイランなど)には制裁を科してきた。また、その信憑性について疑問が出ているが、イラクのように大量破壊兵器が存在するとして、直接的な攻撃が行われたこともある。

 日本は米国主導の核不拡散体制を支持し、自ら非核三原則を提示してきた。ただ、日本と米国は日米安全保障条約という強固な軍事同盟を結んでいるため、日本が独自で原子力開発を行うことについて米国は容認してきた。
 独自の原子力技術があれば、実質的に核保有国に近い立場になるため、インドと同様、日本も一種の特別扱いだったといってよい。

 トランプ氏の発言はこうした戦後秩序について根底からひっくり返す内容である。同氏はかねてから日米安保について、米国の負担が大きすぎるとして見直しを提言してきた。

 トランプ氏の発言については、これまでと同様、一種の放言と見る向きもあるが、最近、安全保障に関する政策アドバイザーを任命しており、現実的な政策立案を視野に入れ始めている。もしそうだとすると、思いつきで発言しているわけではない可能性も出てくることになる。

 もしトランプ氏の発言が現実化した場合、日本は米国の後ろ盾をなくし、いきなりアジア太平洋地域の混沌とした地政学的領域に放り出されることになる。

 日本は、否定派であれ肯定派であれ、日米同盟を所与のものとして議論を進めてきた。米国が日本と距離を置くことになれば、日本は米国という制約条件がなくなる代わりに、最悪の場合には米国と対立するリスクを背負い込むことになる。
 また、これまでは、日米同盟を前提に、ただ感情的に中国を批判していればよかったが、もし日米同盟がなくなれば、中国と正面から対峙しなければならない。

  気が付かないうちに周辺の国すべてを敵に回してしまい、国家が破滅しかかった太平洋戦争という悪しき前例もある。トランプ氏の発言は、日本の安全保障の根幹を試しているといっても過言ではないだろう。

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