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クルーグマン教授が安倍首相との会談内容を暴露。日本はオフレコの概念もガラパゴス

 

 政府側が非公開を前提にしていた国際金融経済分析会合でのやり取りを、ポール・クルーグマン教授が公開するというハプニングがあった。日本と諸外国では、こうした情報の扱い方に根本的な認識の違いがあるが、これが露呈する形となってしまった。

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 安倍首相は2016年3月16日から、国際金融経済分析会合を開催しており、3回目の会合にはクルーグマン教授が招かれた。会談の内容は原則非公開ということだったが、クルーグマン氏は22日にツイッター上で会談の内容をすべて公開してしまった。
 日本側の対応にかなりの不満があったらしく、ツイッター上では不快感を示すコメントも残している。

 政府は困惑した様子だが、こうした事態が発生してしまう理由は、日本と他の先進諸国とでは、情報の取り扱いに関する根本的な認識の違いが存在するからである。

 先進的な民主国家では、政治家や公務員は、法律に基づく形でなければ、ジャーナリストや学識経験者などに対して守秘義務を強要することはできない。オフレコという形にする場合には、両者が同意して初めて成立する。
 つまり情報を受け取った側にも、これを秘匿するメリットがなければオフレコは成立しないのである。

 一方、中国のような非民主国家では、政治家や公務員は法に基づかなくても、無条件で非公開を強要できる。非情に残念なことだが、日本は民主国家でありながら、どちらかというと中国のような体制に近い。
 日本の政治家や公務員は、ジャーナリストや学識経験者に対して非公開を要請すれば、相手はその意図を汲み、従ってくれるものだと認識している。

 官邸側はクルーグマン氏に対して、当然のように守秘義務を要請した可能性がある。権威主義的に非公開を要請されれば、当然、相手は不快感を持つ。またクルーグマン氏の側には会談内容をすべて非公開にするメリットがほとんどない。国際的な一般常識ではオフレコは成立しないだろう。

 これは多くの外交交渉の場でも見られる傾向だが、日本側は、なぜか自らの希望について相手が無条件で汲んでくれるものと考えているフシがある。そして、それが受け入れられないと感情的に反発してしまう。

 日本人しかいないムラ社会では、空気を読むというコミュニケーションも可能だが、対外的な交渉では通用しない。相手に何かを要請する場合には、それに見合うメリットを提供できなければ、合意には至らないのが普通である。

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