ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

若者の7割がクルマを買いたくない。価格が上昇してしまった理由は日本経済の低迷

 

 日本自動車工業界は2016年4月8日、2015年度の乗用車市場動向調査の結果を発表した。クルマを保有していない10~20代の社会人の約6割が購入の意向を持っていなかった。若者の貯蓄志向が明確になった形だが、価格の絶対値が高くなっていることも影響していると思われる。

kurumakonyu

 この調査は2年ごとに実施しており、今回は昨年夏に行われた。クルマを保有していない10~20代の社会人の中で「クルマに関心がない」と回答した人は69%にのぼった。同じく「クルマを買いたくない」と回答した人は59%だった。

 買いたくない理由としては、「買わなくても生活できる」「今まで以上にお金がかかる」「クルマ以外に使いたい」といった理由が並んだ。「クルマに対して興味がない」「乗りたいクルマがない」などの順位が低いことを考えると、クルマそのものに関心がないというよりも、お金がないのでクルマに支出する余裕がなくなっていると考えた方がよいだろう。

 日本の給与所得者の平均年収は多少の上下はあっても、ここ20年、一貫して下落している。日本のGDP(国内総生産)は横ばいが続いており、企業が利益を捻出するため人件費の抑制を続けてきた結果である。

 だが、これは日本国内の問題でしかない。同じ期間において、諸外国のGDPは1.5倍から2倍に拡大しており、賃金もそれに応じて上昇している。自動車産業は典型的なグローバル産業なので、自動車価格も経済規模の拡大に合わせて上昇していくことになる。

 トヨタ自動車の売上高を販売台数で割った単純な平均価格は、20年前は約180万円だったが、昨年は300万円と1.7倍になっている。総務省の小売物価統計でも、同じような傾向が見られる。
 国内はゼロ成長が続いてきたが、自動車産業は国内の状況にだけ合わせることはできないので、どうしても価格はグローバル水準になってしまう。結果として、日本人にとってクルマは以前より高価なものになってしまった。

 利用者から見れば、不要なオプションばかり付いて高く買わされているということになるが、事業者から見ると、グローバル価格を維持するために、苦心しているという解釈になる。もし、クルマの価格が高価だという問題が、構造的なものだとすると、根本的な解決策を見つけ出すことは難しい。

 電気自動車の普及や、自動運転技術を使ったカーシェアリングの普及など、技術的なブレークスルーがあれば話は別だが、日本経済に大きな変化がなかった場合、日本人はこれ以上、積極的に自動車を購入しないかもしれない。

 - 社会, 経済 , , ,

  関連記事

handotai
特許データを元にした革新的な企業100社。最多ランキングとなった日本の課題

 トムソン・ロイターは2014年11月6日、特許データをもとにした、世界でもっと …

facebookcom
フェイスブックは先行投資で利益減少。まだ投資家は「待ち」の状態だが・・・

 SNS最大手の米フェイスブックは2015年4月22日、2015年1~3月期の決 …

mof03
消費税10%に向けて動き出した財務省。増税の判断基準が7~9月期GDPである理由

 昨年末に2014年度予算の政府案が閣議決定されたことで、財務省は消費税の10% …

meti03
650万円の生活費を2年支給するというベンチャー支援策が登場する背景

 政府が、起業を後押しするために、650万円の生活費を最長で2年間支給する制度を …

ianfunozo
NY州議会で慰安婦問題が決議。米国政界に広がる危険な兆候

 米国ニューヨーク州議会上院は29日、従軍慰安婦問題について「人道に対する罪」と …

rikokkyou
日本のバブル退治を彷彿?中国が景気減速にもかかわらず、金融引き締めを強行

 中国経済が正念場に差し掛かっている。香港上海銀行(HSBC)が6月20日に発表 …

businessman04
駆け込み需要で絶好調な1~3月期GDP。10%増税と追加緩和への影響は?

 内閣府は2014年5月15日、2014年1~3月期の国内総生産(GDP)の速報 …

frb
10月のFOMC。予想外に強気で「やはり年内利上げ」との声も

 FRB(連邦準備制度理事会)は2015年10月28日に開催したFOMC(連邦公 …

sandberg201401
政界進出?フェイスブック株大量売却をめぐってサンドバーグCOOの去就に注目が

 SNS大手フェイスブックCOO(最高執行責任者)で、女性の社会進出を唱える活動 …

chinaenergy
中国が南シナ海での資源開発をあらためて強調。中国が譲歩できないその背景

 中国政府は、フィリピンなどとの領有権問題が発生している南シナ海領域について、中 …