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相次ぐ日本経済にとっての逆風。追加緩和以外に手はないが、原油増産凍結が追い打ち

 

 この週末、日本経済にとってマイナスとなる出来事が相次いだ。熊本地震の影響もあり、当分の間、市場は逆風にさらされることになる。

 ワシントンで行われていたG20(主要20カ国・地域、財務相・中央銀行総裁会議)は15日、各国が政策を総動員するという共同声明を採択して終了した。会合において日本は、為替介入の余地を探ったが、米国をはじめとする諸外国の抵抗が大きく断念した。日本は今後、為替が円高に振れても、介入を実施するのが難しくなった。

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 日銀はマイナス金利の導入に踏み切ったが、今のところ、この政策は裏目に出ている。マイナス金利のデメリットは、量的緩和策が限界に来ているという間違ったサインを市場に送ってしまうことだが、結果的に日銀はそのような状態に追い込まれている。

 G20で為替介入を正当化しようとしたのは、追加緩和を積極的に実施できないという苦しい事情からである。もし追加緩和を行って効果がなかった場合には、日銀の手詰まり感が明確になってしまう。
 一方、物価を上昇させるためには円安進行が不可欠である。追加緩和は温存し、介入によって円安誘導したいというのが日本側のホンネだったが、その目論見は外れてしまった。結局、日銀には追加緩和しか切り札は残っていない。

 だが追加緩和を実施したとしても、どれだけの効果が得られるか不透明になってきた。産油国各国が増産の凍結合意に失敗したからである。

 産油国各国はカタールで会合を開き、増産凍結について議論していたが、結局、凍結について合意できず17日に会合は終了となった。
 国際社会に復帰したイランが制裁前の水準に復帰するまで増産を続ける意思を示しており、サウジアラビアがこれに難色を示した。増産が続くということになると、物価には確実にマイナスの影響となる。

 量的緩和策は本来、個別製品の価格変動は相対価格を変化させるだけで物価全体には影響を及ぼさないことが大前提となっていた。だが、原油価格の下落が物価を低迷させているという現実を前に、基本的な考え方の見直しが必要となっている。
 増産凍結によって今後も原油価格の低迷が続くのだとすると、仮に追加緩和を行ってもその効果は相殺されてしまうだろう。

 熊本の地震では、部品調達の関係からトヨタが生産を停止するなど産業界への影響も懸念されている。
 政府・日銀としては当面、打つ手がないという状況であり、市場はこうした事態を織り込んでくる。5月に開催される伊勢志摩サミットでは、何らかの政策協調が実施されることになるかもしれないが、それまでの間は成り行きに任せるしかない。為替市場と株式市場には、しばらくの間、逆風が吹き続けることになるだろう。

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