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政府が1億総活躍社会における経済効果を試算。個人消費は13.7兆増えるとしているが・・・

 

 政府は2016年4月18日、一億総活躍社会を目指す取り組みが実現した場合の経済効果に関する試算を公表した。女性の就業者が増えることや賃金の上昇などで、2020年度の消費支出は13.7兆円増加するとした。ただこの前提には少々無理があり、実際の数値はもっと低くなる可能性が高い。

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 安倍政権は一億総活躍社会というスローガンを掲げており、介護職員の待遇改善や高齢者雇用の促進、最低賃金引き上げなどの施策を検討している。これまでは定性的な話がほとんどだったが、18日に開催された経済財政諮問会議の場では、具体的な数字が公表された。

 試算では、介護職員や保育士の確保などによって女性の就業者が増加するとともに、高齢者の雇用も増えることで、2020年度には労働者の数が117万人増えるとしている。
 女性の潜在的労働力は400万人以上あるといわれており、117万人という数字を単純に女性と置き換えると、働いていない女性の4分1が労働市場に出てくる計算だ(ちなみに2025年度にはこの数字が204万人になる)。これによって、労働者に支払われる賃金は総額で3.3兆円増加ことになる。

 また非正規労働者の正社員への転換や、最低賃金の年3%上昇などの施策によって賃金全体も底上げされるとしている。最終的には2020年度に17.2兆円の増加が見込めるという。

 新しい労働力の投入と賃金の引き上げによって、労働者が得る賃金総額は20.5兆円となり、税金などを差し引くと16.9兆円の可処分所得が得られる。このうち約8割が消費に回るとすると、消費支出は13.7兆円増加するという計算だ。
 現在、日本のGDP(国内総生産)における個人消費は約290兆円なので、4.7%ほどの押し上げ効果となる。

 ただ、この前提には少々無理がある。117万人の雇用者数増加は不可能な数字ではない。また新規雇用者の平均賃金は280万円程度と試算しているが、多くが女性もしくは高齢者ということを考えると、賃金水準も現実的といえる。

 一方、賃金上昇は4年後に1人当たり年間27万円の増加と見込んでいるが、あまり現実的とはいえない。年収の平均値は300万円台であり、中央値はさらに低く200万円台となる。こうした人も含めて、全員の賃金を4年で1割以上増やすというのはかなり難しいだろう。

 日本の労働者の名目賃金は横ばいが続いており、実質賃金はむしろマイナスである。仮に名目賃金が1割増加したとしても、実質ではプラスとならず生活の豊かさは変わらない可能性が高い。

 日本経済は不景気であるにもかかわらず、若年層労働者の不足から、供給制限が発生しつつある。こうした現実を考えると、賃金よりも就業者の増加に力点を置いた方が現実的かもしれない。

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