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大リストラと収益貢献の優等生。野村と三菱の外銀買収で明暗を分けたのは?

 

 大手金融機関の海外展開力に大きな差が付き始めている。野村ホールティングスと三菱UFJグループは、リーマンショックを千載一遇のチャンスとし、欧米の金融機関を買収したが、その結果はあまりにも違っていた。明暗を分けたのは地域の選定である。

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 野村ホールティングスは2016年4月12日、欧州事業の見直しを発表した。欧州での人員削減は1000人規模で、欧米に配置した人員の17%になる見込み。株式関連の部門が中心とみられ、株式関連したデリバティブ(金融派生商品)や調査業務から撤退するという。

 同社は2008年、6000億円を投じて、破たんしたリーマン・ブラザーズの欧州・アジア事業を買収した。この買収で一気にグローバル展開を進める算段だったが、その目論見は完全に外れてしまった。
 当初は、高給で知られるリーマンの社員をつなぎとめられるのかといったマネジメント面での懸念がささやかれていたが、現実はもっと厳しいものだった。そもそも欧州の景気が回復せず、投資銀行業務そのものに逆風が吹き続けたからである。

 旧リーマンの部門は、買収後も業績がまったく回復せず、5期連続で赤字を垂れ流す状況となっている。これはリーマンに限ったことではなく、ドイツ銀行やクレディ・スイスなど、他の投資銀行も似たような状況だ。ただ、野村の場合は、リーマンの欧州・アジア部門以外に大きな海外部門がないため、人材の再配置がスムーズに進まず、リストラが遅れてしまった面は否めない。

 一方、同じ時期、三菱UFJグループは9000億円を投じて米モルガン・スタンレーを買収しているが、モルガン・スタンレー部門は同社の収益に大きく貢献している。欧州と異なり米国はリーマンショックからすぐに立ち直り、金融機関の収益も急回復した。バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど、同業他社の業績も好調だ。

 モルガン・スタンレーは、債券部門が比較的好調であるにもかかわらず、同部門のリストラを計画しているとの報道も出ている。市場の動向に応じて、機動的な人員の再配置を実施していることも好業績の背景となっているかもしれない。

 野村と三菱の違いは、欧州と米国という地域の違いによるところが大きい。企業が海外進出する場合、ある特定地域に絞って買収を行うことも多いが、こうした戦略は時に地域リスクと背中合わせになる。

 マイナス金利の導入で、日本の金融機関はますます稼げなくなっており、どうしても海外に目を向けざるを得ない。これまで日本の金融機関の海外展開はあまり注目されていなかったが、海外情勢の変化で、国内の経営基盤にも影響が及ぶ時代となりつつある。多くの人にとって無関心なテーマというわけにはいかなくなったようだ。

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