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ロボットが普及すると仕事が減るはずでは?経産省の試算がイメージと逆な理由

 

 ロボットや人工知能(AI)が普及すると仕事がなくなってしまうというのが一般的な認識だが、経済産業省がまったく正反対の試算結果を公表した。ロボットやAIを普及させないと、日本は2030年までに735万人分の仕事が消滅するという。仕事が増えるのか?なくなるのか?一体どちらなのだろうか。

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 経済産業省は2016年4月27日、第4次産業革命に対応するための指針となる「新産業構造ビジョン」の中間整理を発表した。中間整理には、ロボットやAIを普及させなかった場合、2030年までに働く人の数が735万人減少するとの試算結果が盛り込まれた。逆に、ロボットやAIを活用すれば161万人の減少で済むとしている。

 ロボットやAIが普及すると、労働者の仕事が奪われるというのが一般的な認識である。昨年12月、野村総合研究所は、日本の労働人口の約半数がロボットやAIに置き換わる可能性があるとの推計を発表している。
 両者はまったく逆の結果となっているが、それは、試算を行う対象や範囲が異なっていることが原因であり、両者は基本的に同じことを別な形で説明していると考えてよい。

 野村総研の推計は、英オックスフォード大学の推計方法に倣ったものであり、ミクロ的な手法が用いられた。つまり、個々の仕事がどれだけロボットやAIで代替できるのかという点に絞られている。

 一方、経済産業省の推計はマクロ的なものである。アベノミクスがうまくいき、経済が再生することに前提にすると、人口減少から供給制限がかかってしまうという恐れがある。
 ロボットやAIが普及すれば、潜在成長率をフルに活用することができるので、供給制限を排除することが可能となる。その結果、経済のパイ全体が大きくなり、労働者の数も増えるという理屈だ。

 全体のパイは増えるが、職種別では人数の増減が出てくる。例えば営業という職種では、ロボットやAIの導入によって付加価値の高いコンサルティング営業の従事者数が114万人増加するが、定型業務を行う販売員などについては68万人減少する。また、製造部門も297万人の減少、コールセンターなどサービス業務も51万人の減少となっている。

 同省の試算は、従来の仕事をロボットやAIが代替するという、一般的な予測と基本的には同じということになる。ただ、主眼がマクロ経済に置かれており、アベノミクスの成功によって潜在成長率がフルに生かされることを前提にしているという部分に違いがある。

 ただ現実には、日本のマクロ経済が名目で3.5%成長、実質で2%成長を続けるという前提にはかなり無理がある。しかも、経済成長が順調に進まず、現状を放置した場合、短期的には有利になる職種すらある。
 製造業は262万人の減少にとどまり、コールセンターなどのサービス業務に至っては23万人も雇用が増える。場合によってはこちらの方が魅力的に感じる人も出てくるかもしれない。

 もっとも、経済が成長しないというシナリオが進んだ場合、長期的には最悪の結果となる可能性が高い。すぐに仕事は減らないものの、社会全体の貧困化が徐々に進み、最終的には全員の仕事が減少するという、やっかいな状況に陥ることになる。

 ただ、今の日本における社会的な風潮では、産業構造の改革を進めることはなかなか難しい。望ましいことではないが、現状放置のシナリオが進む可能性について想定しておいた方がよいだろう。

 - 社会, 経済, IT・科学 , ,

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