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為替介入も辞さずという麻生発言。日本側の動きを束縛してしまった可能性も

 

 日銀が追加緩和を見送ったことから、為替市場では急激な円高が進んでいる。麻生財務相は為替介入も辞さないとのスタンスを明確にしたが、米国からは為替介入を牽制する声が出ている。
 米国の動きは政治的なニュアンスが強いとはいえ、日本側が為替介入にこだわる姿勢を見せてしまったことで、今後の金融政策の舵取りはさら難しくなったかもしれない。

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 日銀は2016年4月27日の金融政策決定会合において、金融政策の現状維持を決定した。追加緩和に踏み切るとの市場予想が大半だっただけに、市場は混乱した。為替市場は一気に106円台の円高となり、株式市場も1200円以上の下落となっている。

 急激な円高を受けて、麻生財務相は「必要に応じて対応する」と明言し、円売り介入も辞さない姿勢を強調した。だが一方の米国は29日に発表した報告書の中で、日本の為替政策を監視対象にしたことを明らかにし、介入を強く牽制する状況となっている。だが、これについても麻生氏は、「我々の対応を制限することは全くない」と明言している。

 麻生氏の発言は財務大臣としてのものなので、これは日本政府の基本的なスタンスと考えてよいだろう。もしそうであれば、一方で追加緩和を見送り、一方では為替介入を強く示唆するというのは、市場に誤ったメッセージを伝える可能性があり、非常にリスクが高い。

 量的緩和策の目的は表面的には資金供給量の拡大だが、為替が連動して切り下がることが期待されているというのは、暗黙の了解である。つまり、量的緩和策を続けている限り、為替操作と認定されることはない。
 だが、政府が直接為替市場に介入するということになると、話は変わってくる。場合によっては格好の政治的ターゲットになる可能性があるからだ。

 為替介入には原資が必要であり、結局は、政府短期証券の発行によってカバーされるため、財政を悪化させる懸念がある。今のところ、例外的なケースを除いて、政府短期証券を日銀が引き受けることはないので、流動性供給の効果もない(不胎化)。

 為替介入と量的緩和策を比較した場合、後者の方がメリットが大きいが、日本政府はあえて介入を選択しているということになる。場合によっては、量的緩和策の手詰まり感が大きいとの印象を市場に与えてしまうかもしれない。

 今回、追加緩和を見送ったことで、市場では次回の緩和を予想する声が高まっている。伊勢志摩サミットや選挙などの政治日程をにらみ、政策を集中させた方が得策という見方である。だが、次回も緩和を見送るということになると、いよいよ選択肢がなくなってしまう。

 市場の期待に反する形で追加緩和を見送り、結果としての円高に対しては「介入」を示唆するということでは、いかにも場当たり的な対応は否めない。日本政府は自ら袋小路に追い込んでいる可能性がある。

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