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セブン鈴木氏の退任によって、同社は批判できないというタブーがなくなった?

 

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者が退任の意向を明らかにしたことをきっかけに、大手メディアはこれまで控えていたセブンや鈴木氏に関する報道を次々に行っている。
 同社は大手メディアにとって巨大な広告主であるとともに、コンビニという販売ルートを握っており、業界におけるタブーのひとつだった。タブーが消滅するのはよいことだが、退任が決まらなければ批判記事が出てこないという現実は重い。

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 鈴木氏の退任決定を受け、同氏の経営者としての資質を問う事実が次々と報道されている。日経ビジネスは鈴木氏が同社創業家である伊藤家に対して、イトーヨーカ堂が抱える100億円の在庫を買い取るよう要請していたという事実をスクープした。

 伊藤家はすでに経営の第一線から退いており、同社の経営はサラリーマン社長である鈴木氏が担ってきた。自身の経営の結果として生じた過剰在庫を株主に買い取らせるなど、上場企業としてはあってはならないことである。

 また週刊ダイヤモンドは、鈴木氏が2014年から15年にかけて、30万株の同社株を売却し10億円から13億円もの現金を得ていた事実を報じている。
 経営者の株の売却そのものは違法ではないが、グループ内のイトーヨーカ堂が経営不振に陥っている最中に、すべての権限を握ってきた経営トップが株を売り抜けるというのは、経営者としてのモラルに欠けると批判されても仕方ないだろう。
 同誌によると株の売却益は、医者である長男の開業資金と、同氏がセブンの後継者に据えようとしたとされる次男の自宅改築費に充てられたという。

 こうした記事は、本来、鈴木氏の在任中に出てくるべきものだが、マスコミ業界にはセブンは批判できないというタブーがあり、なかなか実現しなかった。
 セブンは、毎年巨額の広告費を落とす広告主であり、コンビニという流通チャネルを握っているため、大手マスコミにとっては手ごわい存在である。また鈴木氏自身が、かつてはジャーナリスト志望だったがかなわなかったという過去があり、マスコミ業界に対してはことさらに厳しいという話もある。

 ここに来て、各誌がセブンや鈴木氏に関する事実を報道し始めているのは評価すべきことだが、逆に考えれば、マスコミの自主規制がいかに大きかったのかを示す結果ともいえるだろう。

 だが、タブーを生じさせてしまう原因は他にもある。それは読者のリテラシーである。日本ではひとたび批判のターゲットになると一斉にバッシングする傾向が強いが、逆に普段は、批判的な見解を述べる人がバッシングされる。
 現実問題として、これまでは、セブンを批判する記事を書くと、逆に読者から激しい抗議を受けたりすることもしばしばだったのである。読者が望んでいない以上、積極的に同社を批判するメリットは少ない。

 大手マスメディアは広告を収入源としたビジネスであって慈善事業ではない。逆に言えば、最終的に収益になるのであれば、メディアは積極的に批判記事を掲載するだろう。
 メディアはその国の国民レベルを映す鏡でもある。メディアを生かすも殺すも、結局は読者のリテラシー次第である。

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