ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日産が三菱を救済。安い買い物か、高い買い物かは現時点では不透明

 

 日産自動車は2016年5月12日、データ改ざん問題で揺れる三菱自動車に約2400億円を出資すると発表した。三菱自動車は日産の傘下に入ることで経営再建を図るが、日産にとっては大きな賭けとなる。

nissanngone

 日産は、三菱自動車が行う第三者割当増資を引き受け、発行済株式数の34%を保有する筆頭株主となる。これまで同社の筆頭株主は三菱重工だったので、同社は事実上日産の傘下に入ることになる。

 三菱自動車は今年4月、軽自動車に関する燃費データを改ざんしていた事実を明らかにした。データが改ざんされていたのは、同社の「eKワゴン」など2車種と、同社が受託生産を行い、日産が販売している「デイズ」など4車種。すでに62万5000台が販売されており、顧客に対する補償費用は1000億円から2000億円になるともいわれる。

 現在、同社は軽自動車の生産や販売を停止しており。国内販売台数は4月の段階ですでに前年同月比で半減している。5月以降はその影響が本格化する可能性が高く、販売不振が長引けば、経営を圧迫することは間違いない。

 三菱自動車は過去にもリコール隠しが表面化し、経営危機に陥ったことがある。前回は三菱グループが全面的に支援し、何とか再建にこぎ着けたが、今回は状況が大きく異なっている。

 三菱グループは、中核企業である三菱重工が客船事業で特別損失を出しているほか、三菱商事が赤字に転落するなど余裕がない。市場では三菱グループは支援しないと予想する声が大きく、三菱自動車がどこの傘下に入るのか注目されていた。

 日産と三菱は軽自動車に加え、電気自動車の分野でも共同開発を検討するなど共通項が多い。三菱は東南アジアに強く、日産にとってはグローバル展開を補強することができる。東南アジアにおける三菱自動車の販売台数は約33万台で、日産と同規模となっており、両社が一緒になるシナジーは大きい。考え方によっては、日産は非常に安い価格でこれらのリソースを入手できたことになる。

 ただこうしたシナジー効果も、三菱自動車のブランド・イメージを回復できればの話である。同社の再建に失敗した場合、三菱が日産の経営の足かせになる可能性も十分に考えられる。
 データ改ざん問題が完全に収束していない現段階では、2400億円の買い物が割高なのか割安なのかは何ともいえない。結果が見えるまでには、1年程度の時間が必要だろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

no image
サラリーマンの閨閥が日本企業をダメにする

 よく知られていることだが、経営危機に陥っているシャープの前会長の町田氏は、同社 …

bouekitoukei201401
1月の貿易赤字が何と倍増。最大の原因は輸出不振であってエネルギー問題ではない

 財務省は2014年2月20日、1月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し …

ichimanen
家計の貯蓄が減っているのに、国債の消化がこれまで問題なく行われてきたワケ

 日銀は2013年12月19日、7~9月期の資金循環統計を発表した。9月末時点で …

newvaio
ソニーのVAIO分社化が完了。パソコンの手離れで市場の関心はいよいよTV事業へ

 ソニー経営再建の焦点となっていたパソコン事業分社化がひとつの節目を迎えた。投資 …

doruen201409
為替市場で円安が加速。指標的には過剰だが、相場主導で現実が後追いか?

 為替相場が急に慌ただしくなってきた。2015年5月26日の外国為替市場では円安 …

tosho
金融庁で企業統治改革の検討が始まる。本当に日本人はガバナンス強化を望むのか?

 上場企業の企業統治(コーポレートガバナンス)に関する具体策を検討する有識者会議 …

bukkajoushou
消費者物価指数はじわじわ上昇。GDP成長は来年も物価上昇を上回ることができるのか?

 総務省は7月26日、6月の全国の消費者物価指数を発表した。代表的な指標である「 …

runesasu003
ルネサス救済が正式決定。だが、早くもガバナンス不在の現実が露呈

 経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスは10日、第三者割当増資を実施し …

businessman02
非正規社員の数が過去最多。このほかにも実質賃下げを示唆する出来事が増加中

 総務省は8月13日、4~6月期の労働力調査の結果を発表した。それによると、非正 …

torisimariyaku
経済同友会が独立取締役の義務化を要望。実現がほぼ絶望的な理由とは?

 経済同友会は10月28日、企業からの独立性が高い「独立取締役」の設置を上場企業 …