ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

米国が急激に利上げモードにシフト。日本の財政出動は完全にハシゴを外された状態に

 

 米国が急速に利上げモードにシフトしている。市場はまだ疑心暗鬼だが、地区連銀の各総裁からは積極発言が続いている。このところ良好な経済指標が相次いでいることや、大統領選挙という不透明要因があることから、金融政策の選択肢を拡大しておきたいとの思惑があると考えられる。

fomc201604

 2016年5月17日、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁とアトランタ連銀のロックハート総裁はワシントン市内において、次回6月のFOMC(連邦公開市場委員会)において、追加利上げがあり得るとの発言を行った。これに続いて、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は19日、「6月か7月の利上げは妥当」と発言した。

 特にダドリー総裁はFOMCの副議長で、イエレン氏に近いといわれる人物。連銀幹部の相次ぐ利上げ容認発言から、一部の市場関係者は早期の利上げを織り込み始めた。市場全体としては、まだ利上げはないとの認識が強いが、潮目が変わった可能性は否定できない。

 このところ良好な経済指標が相次いでいることや、インフレが加速する兆候が出てきているなど、マクロ的な環境は好転している。これまで利上げに対してかなり慎重だったことを考えると、FRB内部の雰囲気が大きく変わったと見るのが自然だろう。

 要因として大きいのは米国の大統領選挙である。共和党のトランプ候補と民主党のクリントン候補の対戦になることはほぼ確実な情勢だが、トランプ氏は明確にドル安政策を打ち出しており、利上げには反対している。

 実際に大統領に就任した場合、一連の言動は大きく修正される可能性が高いが、少なくとも現時点では市場の攪乱要因となっていることは間違いない。FRBとしては、大統領選挙の結果、為替政策に大きな変化があった場合でも、金融政策の選択肢を確保しておきたいところだ。
 完璧な状況ではないものの、指標が良好なうちに利上げを実施しておき、その後の状況に備えたいと考えても不思議ではない。

 また、資源価格の下落が一段落していることや、中国の景気失速の影響もある程度見通しが立ってきたことから、世界経済に対する安心感が増していることも大きい。

 21日に仙台で開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、財政出動は各国が判断すればよいという、平凡な結論に落ち着いた。
 大規模な財政出動を望んでいるのは、景気低迷に苦しむ日本だけとなり、G7で各国の協調財政を主導するというシナリオを描いていた日本は、完全にハシゴを外されてしまった。

 米国が利上げに動けば、とりあえず円安傾向となり日本にとっても悪い話ではない。ただ、米国にとっては、利上げシフトによって再びドル高が加速する状況は避けたいところである。もし本当に利上げするのだとすると、日本の追加緩和は望まないかもしれない。

 利上げが実施されるのかは、現時点では何ともいえないが、世界経済停滞、利上げ見送り、各国が協調した景気対策という、数ヶ月前に見えていた景色とはすっかり様変わりしたことだけは間違いない。

 - 経済 , , , ,

  関連記事

sinise
来年100周年を迎える企業が1425社。このニュースの意味分かります?

 来年に創業100周年を迎える企業が全国で1425社に上ることが帝国データバンク …

tokkyosingikai
社員の発明をめぐり、今度は一転して企業帰属の方向性で議論が進む

 政府は、企業の従業員が発明した特許について、これまでとは反対に、原則として企業 …

jdiishikawa
政府がジャパンディスプレイの株売却を示唆。資金繰り悪化との報道も

 政府が全面的に支援している日の丸液晶メーカー・ジャパンディスプレイ(JDI)の …

jutakurone
メガバンク各行が一斉に住宅ローン金利を引き上げ。金融市場に何をもたらすか?

 メガバンク各行が4月に入って住宅ローン金利を一斉に引き上げた。トランプ経済の影 …

tokyomachinami
企業倒産が激減。日本経済は事実上、機能不全を起こしている?

 企業の倒産件数の減少が進んでいる。2015年はバブル期の頂点だった1990年以 …

robotfunuc
ロボットが普及すると仕事が減るはずでは?経産省の試算がイメージと逆な理由

 ロボットや人工知能(AI)が普及すると仕事がなくなってしまうというのが一般的な …

yawata
大手企業が相次いでTV通販業界を侵食。背景にはガラパゴス大企業の甘えが・・・

 これまで地方に拠点を置く企業が中心となっていたテレビ通販業界に、著名な大手企業 …

bankofhina
中国当局が国営放送を使って中国銀行の海外送金サービスを糾弾している背景

 中国の国営放送局である中国中央テレビ(CCTV)が、中国有数の銀行である中国銀 …

no image
日本の男女平等ランキングは人権抑圧国家並み。だが本当の問題はもっと深刻だ!

 ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは24日、世界男女平等ランキング(The …

shanhai
過大な期待や悲観は無用!中国市場に対する3つの誤解を解く

 近年、日本は中国という存在に振り回される状況が続いてきた。当初は巨大市場に乗り …