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米国の利上げに市場の関心が集中。増税延期と大型補正にも市場の反応は鈍い

 

 安倍首相は2016年6月1日、消費増税の再延期と大型の補正予算について正式に表明する。本来であれば、市場に大きな影響を与えるイベントだが、株式市場の反応は鈍い。
 市場関係者の目が米国の利上げに集中していることに加え、アベノミクスに期待して日本市場に参入した外国人投資家の多くはすで撤退した可能性が高く、市場の攪乱要因が少なくなっているからである。

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 当初、2017年4月に予定されていた消費税の10%への増税は2年半延期され、2019年10月となる。安倍氏は、増税を再延期した場合でも、保育士や介護士の処遇改善などを明記した「1億総活躍プラン」は予定通り実施するとしている。また、そのための財源として赤字国債は発行しない方針を掲げている。

 短期的にはこうした措置が可能でも、長期的に見た場合、今回の増税延期は、財政再建の事実上の放棄と見なされる可能性が高い。長期的視点で日本株を買っていた外国人投資家の多くは日本市場から撤退していると言われているが、こうした事態を見越した動きと考えられる。

 長期的な投資家が日本を去った結果、短期筋だけで株価が上下に振られているのかというとそうでもない。市場の注目のほとんどは、米国の利上げに集中しており、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)までは大きな動きを取りづらいからである。

 この結果、日経平均がピークから2割も下落した状態にあるにもかかわらず、日本の株式市場は思いのほか平穏な状態が続いている。
 今週末に発表される米国の雇用統計が良好だった場合、利上げの可能性はさらに高まることになり、円安が進む可能性が高くなる。大型の補正予算の話題が加わることで、株価にはプラスの材料となるだろう。

 だが米国は、大統領選挙の不透明性を嫌って利上げを急いでいるだけであり、利上げに伴う急激なドル高は望んでいない。円安の動きは限定的なものにならざるを得ないだろう。
 為替が大きく円安に振れない場合、来年以降の企業業績が伸び悩むことは確実である。業績拡大を期待した持続的な買いは入りづらいく、利上げを材料にした買いも長くは続かないだろう。

 日本株はしばらくの間、大きな動きがないまま、低調な値動きが続く可能性が高まっている。だが、これは日本市場で積極的に売り買いする投資家が消滅していることと表裏一体である。
 この状態で、次にネガティブなイベントがやってきた場合には、市場が総崩れになるリスクがある。アベノミクスのスタート以降、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は積極的に日本株を購入しており、すでに30兆円を越える日本株を保有している。
 GPIFが資産保全のため、株式を売りに出すような事態となれば、これを買い支える投資家は日本市場にはもはや存在しない。

 市場の転換点となるイベントが発生する可能性があるとすれば、やはり米国の大統領選挙ということになるだろう。今の市場が嵐の前の静けさでなければよいのだが。

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