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格付け会社の体質が変わっていないのだとすると、日本国債はそろそろ危ないかもしれない

 

 安倍首相が消費増税の再延期を表明したことについて、格付け会社は引き下げを実施しなかった。これまでの格付け会社の動きを考えると、大きな引き下げが実施されてもおかしくない。市場関係者の一部からは、格付け会社の不可解な動きに対して警戒する声が上がっている。

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 米S&Pグローバル・レーティングは2016年6月1日、日本の増税再延期は格付けに影響しないとの見解を示し、A+となっている現状の格付けを維持した。また米ムーディーズも、状況はネガティブだとしながらも、現状の格付けであるA1を維持した。

 これまで格付け会社各社は相次いで日本国債の格付けを引き下げてきた。両社による日本国債の格付け順位は上から5番目とかなり低く、すでに中クラスの評価にしかなっていない。これまでの格付け会社による評価ロジックを考えると、今回の増税延期は間違いなく、引き下げの対象となるところだ。

 日本政府は2020年までに基礎的財政収支を黒字化するという目標を掲げてきた。これまでは、達成は難しいものの、不可能ではないというレベルにとどまっていたが、今回の増税再延期よって状況は一変した。よほどのことがなければ、財政再建の目標達成はほぼ不可能になったとみてよいだろう。

 こうした状況であるにも関わらず、格付けが変わらなかったことについて、一部の市場関係者は深刻に受け止めている。その理由は、リーマンショック以降も格付け会社の体質がまったく変わっていないからである。

 リーマンショックをきっかけに、格付け会社に対しては、全世界から厳しい批判が寄せられてきた。リーマンショック直前、サブプライムローンなどが破綻するリスクが高まっていたにもかかわらず、格付け会社は、自社の営業活動を優先し、格付けを引き下げず、これが危機を大きくする要因の一つになったというのがその理由である。

 経済の調子がよい時は、いろいろとリスク要因を並べ立てるものの、本当に危機が迫っている時には役に立たないという格付け会社の体質は、リーマンショック後も基本的に変わっていない。というよりも、格付け会社というものは元来、そのような存在だと理解した上で利用すべきものである。
 つまり、本当に危機が迫っている時は、格付け会社の格付けが甘くなる傾向が強いのだ。

 もし、そのパターンが日本国債にもあてはまるのだとすると、今の状況はかなり深刻である。実際、今回の増税再延期は、日本の財政における大きな転換点となった可能性がある。

 しかし、格付け会社が市場への影響が大きいことを憂慮し、あえて格付けを動かさなかったのだとすると、背後では国債価格下落(金利上昇)へのカウントダウンが始まっていることになる。当分は、日銀が国債を買い続けるので、金利が上昇する心配はない。だが日銀の買い余力はいつかは消滅してしまう。国債の金利上昇はもはや時間の問題かもしれない。

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