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衝撃の米雇用統計。だが、もっとも影響が大きいのは米国ではなく日本経済

 

 米労働省は2016年6月3日、5月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農業部門の雇用者数は前月比3万8000人増となり、市場予想の3分の1にも満たない水準にとどまった。同日の株式市場は一時140ドル以上の下落となり、為替市場では一気に円高が進んだ。
 FRB(連邦準備制度理事会)は近く利上げがあることを示唆していたが、場合によっては利上げシナリオが大きく崩れる可能性が出てきた。だが、今回の雇用統計の影響をもっとも受けるのは米国ではなく日本ということになるかもしれない。

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 米国では新規雇用者数の増加が20万人を超えていると好景気とみなされる。2月は23万3000人と好調だったが、3月は18万6000人、4月は12万3000人と増加数が鈍化していた。
 この数字については、2通りの解釈がある。ひとつは、労働市場がタイトになっているため、企業は人を雇用しづらくなっているというもの。もう一つは、米国の景気回復局面がそろそろピークに達しているというものである。

 市場では、失業率が完全雇用に近い状況で推移し、賃金も上昇傾向がはっきりしていたことから、労働市場がタイトになっているという見方が主流となっていた。また、米国では大統領線を控えており、共和党のトランプ候補が利上げに強く反対していることから、FRB(連邦準備制度理事会)は今のうちに金利を上げられるだけ上げておきたいと考えている。つまり、各種経済指標が完璧でなくても、FRBには利上げを敢行するインセンティブが存在する。

 実際、イエレン議長も近く利上げがあることを示唆する発言を行っており、市場では、よほどのことがない限り、6月もしくは9月に利上げが実施されるとの認識となっていた。ところが、その、よほどのことが発生してしまった。

 新規雇用者の増加は5年8カ月ぶりの低水準で、下手をすると景気後退まで示唆される数字だった。もっとも、今回の結果は通信大手ベライゾンのストが大きく影響しているとされ、これがなければ3.5万人ほど数字が上振れする。だが、この数字を加えても大幅な減少であることに違いはなく、この結果はほとんどの市場関係者が予想していなかった。このため株式市場や為替市場では動揺が広がってしまったものと考えれる。

 今回の雇用統計で米国経済がリセッション入りしたとの見方も出ているが、その判断は早計だろう。雇用統計は比較的長い期間におけるトレンドを見る必要があり、そもそも市場の先行指標にはなりにくい。仮に米国の景気がピークを過ぎたとしても、それがはっきりするのはもう少し後になってからだろう。

 ただ、米国の今後の景気がどうあれ、先週の雇用統計が、日本経済にとって大きなマイナス要因であることは間違いない。日本は消費や投資が大幅に抑制されており、消費増税の先送りもほとんど効果がない状況となっている。唯一の頼りが米国の利上げによる円安だったが、それも難しくなってきた。

 米国のルー財務長官は、日本の為替介入を牽制する発言を何度も行っており、ドル安に対する警戒感が強い。日本は為替介入によって企業業績を押し上げるという選択肢をほぼ失いつつあり、大型の財政出動以外に手段がなくなっている。

 だが、この環境で大型の財政出動を行えば、日本の財政に対する懸念は確実に増大し、金利上昇リスクを高めるだけの結果に終わるだろう。もともと日本経済は順調に成長などしていなかったが、とうとうマイナス成長に転じるリスクに直面したという意味では、今回の雇用統計が日本経済に与える影響は極めて大きいだろう。

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