ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

国債なんてもう要らない。プライマリーディーラー返上で三菱UFJが財務省に宣戦布告?

 

 三菱東京UFJ銀行が、有利な条件で国債の入札に参加できる「国債市場特別参加者」(プライマリーディーラー)の資格を国に返上する方向で調整に入ったことが明らかとなった。
 プライマリーディーラー制度は、国債の消化を最優先することを目的に導入された制度で、このメンバーであることは一種の特権・利権となっている。メンバーの筆頭格であった同行が資格を返上するというのはただならぬ事態であり、市場には衝撃が走っている。

mof05

 プライマリーディーラーの資格を持つのは大手の証券会社とメガバンク各行。この資格を持つ金融機関は、国債の入札について財務省と情報交換できる一方、すべての入札で発行予定額の4%以上の応札が義務付けられている。
 分かりやすい言葉で言えば、確実に儲かることを保証する代わりに、国債の応札にノルマを課し、国債が消化できないという事態を回避するために作られた仕組みである。これは一種の談合といってよい。

 かつて国債の消化は、大蔵省(現財務省)を中心に参加者の合議で価格が決まる不透明なシンジケート団によって実施されていた。
 その後、市場メカニズムへの移行が進められたものの、実質的にはシンジケート方式が温存された。本来、債券ディーラーではないはずのメガバンク各行が、プライマリーディーラーの資格を保有していることからもこうした状況が推察できる。中でも三菱東京UFJ銀行の立場は特別で、事実上、国債の消化に責任を負う立場だった。

 財務省を中心とした特権クラブの頂点に立っていた同行が資格の返上を検討しているのは、日銀によるマイナス金利政策によって国債保有のメリットが低下しているからである。
 メガバンクは、銀行の収益を悪化させるマイナス金利政策に強く反対しており、このところ当局との対立が先鋭化していた。今回の離脱が、一連の対立と関係しているのかは不明だが、少なくとも市場は、三菱UFJが従来の護送船団から抜ける意思を明確に示したと解釈するだろう。

 同行がメンバーを抜けたことで、短期的に大きな影響が出るわけではない。だが、長期的に見た場合の影響は極めて大きい。
 過大な政府債務を抱えながら、日本国債の金利が低いままで推移しているのは、こうした特殊な入札方式によるところが大きく、この体制が崩れてしまった場合、国債価格を維持できる保証はなくなってしまう。

 安倍首相が消費増税の再延期を表明し、市場では日本国債の金利上昇リスクが強く意識された矢先のことだけにインパクトは大きい。日本の金利上昇リスクは今回の一件で間違いなく高まったといってよいだろう。

 - 経済 , , , ,

  関連記事

obamatennengas
オバマ大統領が2020年までに米国は天然ガスの純輸出国になるとの見通しを明らかに

 メキシコなど中米諸国を歴訪したオバマ米大統領は5月4日、コスタリカで開催された …

taxi
タクシーの規制強化。それは本当に運転手の待遇改善を目的としているのか?

 与党と民主党は、タクシーの台数制限を義務づける「タクシーサービス向上法案」に合 …

swis201405
最低賃金を2500円にする国民投票を行ったスイスの驚くべき実態とは

 最低賃金を何と2500円にするという驚くべき国民投票がスイスで行われた。結果は …

suga03
消費増税をにらんだ5.5兆円経済対策の効果は一時的

 政府は12月5日の臨時閣議において、消費増税に対応した5.5兆円の経済対策を決 …

softbankgacho
ソフトバンクが純利益1兆円超え。TモバイルUSも再度買収が可能に?

 ソフトバンクの純利益が1兆円を超えた。投資先の売却益が加算された結果だが、何と …

beikokuoil
原油価格の下落で商社各社が損失。今後の事業ポートフォリオは?

 住友商事は2015年3月25日、2015年3月期の決算について、黒字予想から一 …

arumikoujou
世界景気のバロメータ、アルコアが黒字転換。世界の工業製品需要は堅調?

 アルミニウム大手のアルコアが黒字転換を果たした。同社の決算に対しては市場関係者 …

kengyo
欧米で仕事を掛け持ちする「マルチワーカー」が増加中。日本では普及しないワケ

 複数の仕事を掛け持ちする人をマルチワーカーと呼ぶが、不況が長引く欧州ではマルチ …

kurodasosai
トランプ氏の当選で日米金利が急上昇。シナリオが狂ってしまった日銀

 トランプ大統領の誕生をきっかけに、日米の債券市場で金利が急騰している。米国はす …

bouekitoukei201306
6月の貿易収支は円安効果で赤字縮小。だが産業構造の変化で数量減少は止まらず

 財務省は7月24日、6月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易 …