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LINEがいよいよ上場へ。ただし、ベストなタイミングは逸してしまった

 

 対話アプリのLINEが7月にも東京証券取引所に上場する。親会社である韓国ネイバーと上場方針をめぐる対立があり、2度にわたって上場を延期してきたが、ようやく上場にこぎ着けた。ただ同社の成長はピークを過ぎた可能性が高く、時価総額は伸び悩みそうだ。

linejojo

 現在想定されている上場時の時価総額は約6000億円と、今年のIPO(新規株式公開)としては最大規模になる見込み。しかし、同社が予定通り2014年に上場していれば1兆円を越えていたという予想もあり、最適なタイミングを逃してしまったという印象は否めない。

 直近の決算である2016年1~3月期の売上高は341億円、前四半期である2015年10~12月の売上高は326億円だった。売上高は伸びてはいるが、前年同期比はそれぞれ21%増、26%増となっており、伸び率が鈍化している。2015年の1~3月期の売上高は前年同期比70%増だったことを考えると、成長スピードはかなり鈍っている。

 今年3月末時点での月間アクティブユーザー数は2億1840万人だった。前年同期比では7%増だが、昨年度と比較するとやはり伸び率の鈍化が見られる。
 こうしたネット企業は、実際に収益が増加することよりも、そのポテンシャルで評価される傾向が強い。現実には同社の業績はまだ伸びる余地があるが、市場での評価はすでにピークを過ぎた可能性が高い。

 同社がこの時価総額を維持していくためには、海外展開の拡大が必須となるだろう。同社における利用者数の約7割は、日本、タイ、台湾、インドネシアに集中しており、各国のサービスは現地市場によく溶け込んでいる。
 ローカライズが徹底していることは強みでもあるが、一方で成長スピードが犠牲になるという弱点にもなる。またアジア地域でのローカライズが進みすぎると、グローバルなサービスとしての性格が薄まり、北米や欧州での展開がしにくくなる。

 日本での上場に加えて、ニューヨークでの上場も検討しているが、わざわざ米国でも上場するのは北米市場での知名度向上という狙いがあるはずだ。だが、現実問題として、これから北米市場を本格的に攻めるのはあまり得策ではない。競合が多く、市場に埋没してしまうリスクがあるからだ。

 日本国内での成長にも限界があるということになると、もっとも現実的なのは、当面は東南アジアにおける市場拡大に集中するという戦略だろう。短期的にはインドネシアなどの動向に注目が集まることになる。

 ただ、東南アジアの市場はそれほど大きくなく、同社の展開がこの地域に限定されてしまった場合、リージョナル・サービス企業という印象がより強くなってしまう。そうなってしまうと、同社の高い時価総額を維持するための理屈付けはさらに難しくなる。

 ようやく上場にこぎ着けフリーハンドを得たものの、意外と選択肢が狭いというのが同社の現状である。これからの1~2年は経営陣にとって正念場となるだろう。

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