ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ウーバーをめぐる動きが活発化。シェアリング・エコノミー本格離陸の気配

 

 米配車サービス最大手ウーバー(UBER)をめぐる動きが活発になってきている。シェアリング・エコノミーと人工知能を含むITインフラはセットで考えるべきものであり、今年から来年にかけては、これらが本格離陸することになるかもしれない。

uber02

 米ウーバーテクノロジーズは2016年6月1日、サウジアラビアの政府系ファンドから35億ドル(約3800億円)の出資を受けたと発表した。同ファンドはウーバーの発行済み株式の5%を取得し、ウーバーに取締役も派遣する。3800億円という金額の大きさに、業界にはちょっとした衝撃が走った。
 同社は5月にトヨタとの提携を発表、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とも提携交渉を進めていることが明らかになっている。

 一方、米アップルは、中国の配車サービス最大手「滴滴」(ディディ)に10億ドル(約1100億円)出資することを決定している。「滴滴」はウーバーの競合といわれ、中国では3億人が登録するなど圧倒的なシェアを持つ。

 各社が配車サービスに着目しているのは、同サービスが今後、巨大産業として成長する可能性が高まっているからである。だが、ここまでの大型案件が成立するのは、単に成長分野だからというだけの理由ではない。
 配車サービスの背後にはAI(人工知能)を活用した自動運転サービスの存在があり、シェアリング・エコノミーのカギを握る産業となっているからである。

 配車サービスが普及した場合、直接的な影響を受けるのはタクシー業界ということになるが、自動車全体のニーズが大幅に減るわけではない。しかし、ここに自動運転とITが加わると話は根本的に変わってくる。

 配車サービスのITインフラを活用すれば、数人で1台のクルマをシェアしながら、実質的にクルマを占有するという使い方が可能になる。お互いの利用時間の調整をシステムが行うようにすれば、社会全体で必要なクルマの数を最適化すること可能だ。そうなってしまうと、自動車に対する需要が世界全体で大幅に減少することになってしまう。

 自動車メーカーにとってみれば、自動運転技術は諸刃の剣であり、そうである以上、自動運転との親和性が極めて高い配車サービスと提携する以外に生き残る道はなくなってくる。
 つまり、配車サービスという産業セクターは、自動車メーカーという巨大産業から富をシフトさせる存在ということになる。サウジアラビアの政府ファンドが前代未聞の金額を配車サービスに投資する意味はそこにある。

 配車サービスがITインフラと直結しているのであれば、当然、サービス内容は配車だけにとどまらない。
 小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズは6月3日、生鮮食品の宅配事業でウーバーと提携すると発表した。ウォルマートの顧客がネットで注文した商品をウーバーなど配車サービスの運転手が自宅まで届ける。

 配車サービスが、人とモノの移動に関する総合インフラに転換する可能性はますます高まっているが、日本国内での関心は低い。来年あたりには、サービスのイメージがより具体化している可能性が高く、日本でも関心が高まるかもしれない。だがその時には主要なプレイヤーの立ち位置はすでに決まっているはずであり、他社の参入余地は小さいだろう。

 - 社会, 経済, IT・科学 , , , ,

  関連記事

sanfranrengin
実はそれほど悪くない?サンフランシスコ連銀の米GDPに関する見解が話題に

 年率換算でプラス0.2%成長にとどまっていた2015年1~3月期の米GDP(国 …

tokyowan
12月8日発表のGDP改定値は上方修正の見込み。ただ全体的な景気動向は変わらず

 財務省は2014年12月1日、7~9月期の法人企業統計を発表した。ソフトウエア …

putin201412
ルーブル下落が止まらず、ロシア国民の生活を直撃。住宅ローン破産者も続出

 ロシアのルーブルが急落している。2014年12月15日の外国為替市場では、ルー …

zaikaitop
円安で株高になるのはおかしいという財界首脳の発言が象徴するもの

 経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体は2014年1月7日、年頭会見を …

moribuild
これが本当の「森ビル」だ!ミラノで全面緑化ビルが完成したが、その前途は多難?

 イタリアのミラノで建設が進められていた全面緑化型の高層ビル2棟がこのほど完成し …

usmanov
英国長者番付に見るウィンブルドン方式の実態。日本人にこれを受け入れる覚悟はある?

 英サンデータイムズ誌は4月21日、毎年恒例の億万長者リストを発表した。結果は上 …

Thatcher
構造改革路線の生みの親、英国のサッチャー元首相が死去

 英国の元首相で「鉄の女」ともいわれたマーガレット・サッチャー氏が4月8日、脳卒 …

winepod
ロボット化もここまで来た。高級ワインを家庭で醸造できるマシンが米国で話題

 米国で自家製ワイン製造装置がちょっとした話題になっている。自家製ワインの醸造が …

jinmingen02
中国の金融引き締めで追い込まれる中小銀行。当局は大混乱覚悟で続行か?

 中国で短期金利が急騰し、流動性が逼迫している問題で、中央銀行にあたる中国人民銀 …

kourousho
ようやく最低賃金が大幅に引き上げられるが、恩恵の多くは中間層に?

 諸外国に比べて低く抑えられていた日本の最低賃金がようやく引き上げられる。最低賃 …