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自民党の支持母体とも言われた「生長の家」が参院選で与党不支持を打ち出した理由

 

 宗教法人「生長の家」が、2016年夏の参議院選挙において与党を支持しないと発表した。同法人は、かつて自民党の保守系議員を積極的に支援してきたことでも知られている。安倍政権の屋台骨といわれる「日本会議」にも多数の出身者が在席しているだけに、関係者の間では驚きが広がっている。

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 同法人は2016年6月9日、「与党とのその候補者を支持しない」という文書をウェブサイトに掲載した。文書によると安倍政権は「民主政治の根幹をなす立憲主義を軽視」し「海外に向かっては緊張を高め」、「福島原発事故の惨禍を省みずに原発再稼働を強行」していると指摘。夏の参院選では、与党とその候補者を支持せず、これを全国の会員・信徒に周知するとしている。

 政党の支持母体が、路線の違いから支持を取りやめることはよくあるが、同法人は保守色が強かっただけに、多くの関係者が驚いている。

 同法人創設者の谷口雅春氏は米ソ冷戦時代、日本社会が混乱する原因は戦後憲法にあるとして、旧憲法の復活を主張していた。また自民党の保守系議員を支援するなど、保守色の強い団体として知られていたが、現在では旧憲法の復活は主張しておらず、民主的な手続きの重要性を掲げている。

 現在、安倍政権の屋台骨とされる保守系団体「日本会議」には、かつて同法人に所属していた人が多数在籍しているといわれ、一部報道では生長の家と安倍政権の関係性について指摘する声も出ていた。
 声明では、同法人に所属していた人物が、日本会議で活動していることについて「慚愧に耐えない」と批判しており、日本会議と同法人は関係ないことを主張する狙いがあったと思われる。

 こうした動きは政局的に見れば、保守勢力の分裂ということになるが、一方では、論理性の薄い、日本の政治土壌を浮き彫りにしているとも言える。

 日本では、保守、リベラルとも定義がはっきりせず、物事が情緒的に進むことが多い。同法人が主張するように、保守系と呼ばれる人の中には、特定の時代の雰囲気を美化するだけの人もおり、どの時代をもって日本の伝統とするのかはっきりしない面がある。

 こうした言動は、単に権利を主張するだけだった戦後のリベラル系勢力とも共通しており、論理性の欠如が、日本の不利益になっていることを多くの人が自覚していない。
 参院選の結果次第では、憲法改正に向けて環境が整うことになる。あらためて日本の進路について考えてみる必要があるだろう。

 - 政治, 社会 ,

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