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オリンピック利権に好都合だった舛添氏の辞任で、日本経済の不確実性は高まった

 

 東京都の舛添要一知事は2016年6月15日、6月21日付けの辞職願を都議会に提出した。議会は知事の辞職について全会一致で同意し、辞職が正式に決定した。全会派が共同提出していた不信任決議案は取り下げられた。

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 知事の辞職には議会の同意が必要であり、公職選挙法では、辞職の申し出を受けた議長が選挙管理委員会に通知した翌日から50日以内に知事選を行うと規定している。
 都知事選挙は7月14日告示、31日投開票、もしくは7月21日告示、8月7日投開票の日程で実施される可能性が高い。参院選は7月10日なので同日選挙は難しいが、実質的には参院選とのダブル選挙となる。

 舛添氏をめぐっては、公用車を使った週末の別荘通い、高額な海外出張費、私的な宿泊費などを政治資金から支出していた問題などが噴出し、批判が高まっていた。
 舛添氏は当初、強気の姿勢を崩さず、結果的にこれが批判を強める結果となったが、その理由は、自民党や都議会との関係が良好だったからである。

 舛添氏は、政治家のキャリアにおける、いわゆる「上がり」ポストとして都知事に就任している。舛添氏は、もともとタレント文化人として政治家になった人物であり、大きなリスクを取って利権配分の世界に介入するメリットは少ない。
 実際、舛添氏の政治団体の収入のほとんどは政党交付金、つまり税金であり、利権を漁っていた様子はうかがえない。

 一方、都政は利権の塊であり、都議会や自民党の族議員にとっては、名誉職の感覚で仕事をしてくれる知事の方が有り難い。東京の顔として、スポットライトを浴びることを望む舛添氏は知事として非常に好都合だった。両者の思惑が一致していたことから、舛添都政はスムーズに進んでいた。

 だが、小さなカネに異様に執着するという舛添氏の性格が、想定外の事態を引き起こしてしまった。当初は、様子見の姿勢だった自民党や都議会も世論に抗しきれなくなり、舛添氏を切る決断を下した。

 舛添氏の辞職を受け入れた都議会は、ホンネでは困惑しているはずである。そこで問題となってくるのが次の都知事である。舛添氏と同様、オリンピックをはじめとする各種利権を外部に「丸投げ」してくれる知事であればよいが、そうでない場合には、大きな混乱が予想される。

 オリンピック利権の配分で利害の対立があった場合、あたらなスキャンダルが表面化するかもしれない。オリンピックの問題は、日本の財政問題とも地下深くでリンクしており、日本経済にとって実は大きなリスク要因でもある。

 都知事選の結果次第では、政局的はもちろんのこと、経済的にも大きな転換点となる可能性が出てきた。日本経済の不確実性はさらに増したと考えてよいだろう。

 - 政治, 社会, 経済 ,

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