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円高が止まらない。政策の手詰まり状態を市場は見透かしている?

 

 為替市場で急速な円高が進んでいる。欧州で英国のEU(欧州連合)離脱への警戒感が高まっていることに加え、米FRB(連邦準備制度理事会)が追加利上げを見送ったことで、ドル安が定着しやすくなっている。だが円高が進む理由はそれだけではない。日本の政策が手詰まり状態になっていることが大きく影響している。

nihonen 16日の為替市場では、円が一時、1ドル=103円台に突入した。その後、少し値を戻しているが、再度、安値を模索することも十分に考えられる。

 今のタイミングにおいて日本円はもっとも買いやすい通貨となっている。日銀の量的緩和策は完全に行き詰まっており、追加緩和の余地が小さいことは各国の投資家が理解している。つまり日本は緩和という手段で円安に持ち込むことができなくなっている。
 一方、米国は大統領選挙を控えており、基本的にドル高に対する警戒感が強い。仮に次のFOMC(連邦公開市場委員会)で追加利上げが実施されたとしても、極端なドル高にはならないだろう。

 米国は日本の為替介入に対して再三グギを刺す発言をしており、日本側は介入というオプションを行使できない状況にある。つまり日本円はいくらでも通貨高にすることができる唯一の通貨ということになる。
 こうした状況を見越して、ヘッジファンドを中心とする投機筋が円買いの攻撃をしかけていると考えるのが妥当だろう。

 日本の株式市場がもっとオープンで、各国の機関投資家による長期資金が入っていれば状況は違ったかもしれない。
 だが、長期的な機関投資家は構造改革が進まないことを嫌気して、日本の株式市場からはほとんど撤退してしまった。今、日本に残っている外国人投資家は、基本的に投機筋だけであり、彼等にとってボラティリティの上昇はむしろ好都合だ。

 こうした状況を抜本的に解決するためには、金融政策がより効果を発揮できるよう、日本経済の仕組みそのものを変えていく必要がある。基本的に構造改革とセットでなければ金融政策の効果が半減するというのは、共通認識なはずである。

 だが、改革には時間がかかることに加えて、日本の世論はそもそも改革を望んでいない。日本経済が抱える矛盾は解消されず、グローバルな投機資金のオモチャにされるという状況は、当分の間、続くことになるだろう。

 これは言い換えれば、金融政策だけで問題を解決しようという安易な発想が市場から見透かされているといってもよい。最近では、金融政策が効かなくなっていることから、財政を強化すべきという声が高まっている。

 そもそも金融政策を強化するという話になったのは、バブル崩壊後、長年にわたって続けた財政出動に効果がなかったからである。財政がダメだったら金融で、金融がダメだったら財政で、ということではあまりにも節操がない。こうした過去の経緯すら、考える余裕がなくなっているのだとすると、日本経済は本当に危機的な状況かもしれない。

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