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元外交官の佐藤優氏がはからずも明らかにした外務官僚の驚くべき怠慢

 

 野田首相が突然解散を決定したことで、日本外交に混乱が生じている。

 日本とロシアは昨年の日露首脳会談の場において、今年中をメドに野田首相がロシアを訪問することで合意。首相官邸と外務省は野田首相が予定通りロシアを訪問することを前提に準備を進めていた。だが突然、解散を決定したことで、ロシア側との交渉が宙に浮いているという。

 また11月中の首相訪日を予定していたインドも、野田首相の解散ですべてフイになった。インド首相が日本側メディアと会見し、訪日の意欲を語っていた直後に日本側が解散を発表してしまったことから、インド側のメンツは丸つぶれになった格好だ。インド側は非公式に不快感を表明しているという。

 元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏によると、日本側の一方的な都合による日程変更にも関わらず、日本側からロシア側やインド側に電話でフォローするなどの措置は一切行われなかったという。佐藤氏は野田首相をはじめとする民主党幹部の外交センスのなさを批判しているが、むしろ驚くべきは外務省という役所の驚くべき怠慢である。

 今回の解散には不可解な点が多いことはさておき、解散は首相をはじめとする政治家にとっては一大事である。仮に野田首相らに外交センスがあったとしても、解散前後の混乱している最中に、とても各国への配慮を指示する余裕はないであろう。
 本来であれば、インドやロシアに対する電話会談などのセッティングを具申し、実務レベルで関係悪化を最小限に食い止めるのが現場の役目である。だが佐藤氏の主張が真実だとすると、外務官僚はそのような措置を一切していなかったことになる(具申したものの首相が拒否したのかどうかは不明。だがわざわざ拒否するとは考えにくい)。

 これは民間企業では到底考えられないことである。企業トップが社内の事情で、重要な提携相手との会談をキャンセルする事態となれば、関係部署や経営企画室などは、全力を挙げてフォローできる体制を構築すべく段取りをつけるだろう。だが公務員にはそのような意識はまったくないらしい。首相から指示されない限りは、各国との関係が悪化しようが我関せずということなのかもしれない。確かにそれで彼らの給料や年金が減らされるわけではない。公務員はここまで無責任になれるのである。

 日本では官僚組織に対する政治主導が、これではずっと議論されてきた。だが事態はもっと深刻であり、政治主導以前の問題なのかもしれない。

 - 政治

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