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純中国製スパコンが1位との報道。すでに中国は6期連続1位だと知ってました?

 

 世界のスーパーコンピューターの計算速度ランキングである「TOP500」の最新結果が2016年6月20日に発表された。第1位は、純中国製のマイクロプロセッサを搭載した新型機となった。中国製のスパコンはすでに6年連続トップだが、プロセッサまで準中国製になるのは初めて。ちなみに日本のスパコン「京」は5位に転落した。

supakon

 これまで、コンピュータの心臓部であるマイクロプロセッサのほとんどは米国の技術がベースとなっていた。日本の理化学研究所が開発しているスパコン「京」も、使用しているチップはSPARCと呼ばれるもので、もともとは米国のサンマイクロシステムズ社が開発したものである。
 ただ、各国ともこうした米国の基本技術をもとに、独自で仕様を拡張しているので、それぞれが限りなく独自開発に近い状態になっている。このあたりについてはいろいろな見解があるが「京」も、一応、日本独自開発とうたっている。

 スパコン・ランキングではすでに中国のスパコン「Tianhe-2」(天河二号)が6年連続で1位となっており、世界を圧倒している。ただ天河二号のマイクロプロセッサは、米インテル社が開発したXeonをベースにしており、基本技術はやはり米国製であった。

 だが、今回1位になったスパコン「神威太湖之光」は、中国が独自に開発したプロセッサを搭載しており、その意味では100%の純中国製ということになる。米国の基本技術によらないで世界最速のスパコンを開発した意味は大きい。

 中国が開発したプロセッサは、米国のDEC社製のAlphaと呼ばれる製品を参考に、中国国家並列計算機工程技術研究中心(NRCPC)が開発した。このプロセッサを搭載した「神威太湖之光」は1秒間に9.3京(京は兆の1万倍)回の計算を実行できる。これは、昨年まで1位だった中国の「天河2号」と比較すると約3倍、5位になった日本の「京」と比較すると9倍の性能となる。

 2009年民主党の蓮舫議員が「2位じゃダメなんですか」と質問し、一部の国民からヒステリックな批判を浴びた。だがこの時点ですでに中国製のスパコンは5位になっており、「京」が1位になった2011年の段階で中国は2位につけていた。2013年以降はすべて中国が連続して1位を獲得している。

 スパコンは、特定の計算ルールについて速度を競うものであり、国家予算を大量につぎ込めば高いランキングを得やすい。かつてスパコンは最先端の科学技術だったが、最近では、どちらかというと新興国が国威発揚に用いやすい技術にシフトしつつある。
 むしろインターネットを活用し、世界中に分散するコンピュータを有機的に結合させ、全体で高い処理能力を出すことの方に世界の技術的興味は向かっている。

 蓮舫氏がこうした状況をどこまで理解していたのかは不明だが、指摘そのものは間違っていない。近年、日本の科学技術レベルが低下しており、国家プロジェクトとして対応すべきという意見をよく耳にする。しかし、こうした「勇ましい」意見のほとんどは、途上国的な価値観をベースにしている。

 もし日本の科学技術に問題があるのだとすると、スパコンのランキングで1位を取れないことではなく、いまだにこうした「途上国的」な技術に血道を上げようという旧態依然とした気質の方だろう。

 - IT・科学 ,

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