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孫正義社長続投が急遽決定。総会の招集通知送付後というドタバタ人事

 

 ソフトバンクグループは2016年6月21日、ニケシュ・アローラ副社長が22日付で退任すると発表した。アローラ氏は、孫正義社長が後継者に指名していた人物。アローラ氏の退任で孫氏が引き続き経営の舵取りを行うことになる。

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 アローラ氏は米グーグル出身で、2014年に孫氏が巨額報酬を提示して迎え入れた人物である。2015年3月期における契約金も含めた報酬は165億円、2016年3月期は80億円を支払っており、孫氏の期待が大きかったことが分かる。

 今回の人事について孫氏は、経営を続けたいという「欲が出てきた」と説明しており、アローラ氏も「(孫社長の)意向を尊重したい」としている。孫氏は同社の創業者であり、経営に対する欲が出てきたという説明は嘘ではないだろう。
 だが、この人事は株主総会直前に決まり、当日になって議案が差し替えられるという異例の事態となっている。二人の発言を額面通りに受け止めることは難しい。

 同社からはこれ以上の説明はないので推測するしかないが、アローラ氏の実力を孫氏が過大評価していたという可能性がもっとも高いだろう。
 アローラ氏はグーグルでも高い実績を上げた人物だが、あくまでプロ経営者であり、企業の創業者ではない。ソフトバンクという企業をゼロから立ち上げ世界企業にまで育て上げた孫氏とは立場が異なる。

 またアローラ氏に対しては、米国の投資家グループが、副社長としての実績や適性を疑問視する書簡を送っていたことが明らかとなっている。一部投資家の見解であり、同社は根拠のないものとしてこれを退けているが、アローラ氏が主導した投資案件があまりうまいっていないのも事実である。少なくともカリスマ的な能力を持つ孫氏の経営を完全に引き継げるのかは未知数である。孫氏がアローラ氏を見限ってもおかしくない。

 創業経営者の引き際はどの会社にとっても難しい課題である。マイクロソフト創業者のビルゲイツ氏は2001年にCEO(最高経営責任者)の座をバルマー氏に譲っているが、バルマー氏とゲイツ氏はハーバード時代の同級生であり、バルマー氏は準創業者といってもよい存在である。その後、内部昇格者のナデラ氏にCEOを譲ったのは2014年のことである。創業者の色が完全になくなるまで13年の歳月をかけている。

 特に日本企業の場合には、人材の層が薄く、企業文化の問題もあり、日本人以外がトップに立つことは難しい。その意味では、アローラ氏に2年でトップを譲るというスケジュールは少々拙速だったのかもしれない。

 とりあえず孫氏が続投するということで市場では安心感が広がっている。孫氏は現在58歳と若く、10年から15年は余裕で経営を続けることができる。後継者がすぐに意識されることはないだろうが、「決められないかもしれない」という問題は市場の中でくすぶり続けることになる。

 今回の人事は、総会の招集通知が送られた後に決定されたものであり、その結果、一部の投資家は議決権を行使することができなかった。違法ではないが、これまで市場との対話を重視してきた同社としては、かなりお粗末な対応である。後継者問題というものが難題であることを一連の出来事は物語っている。

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