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自民党内で大型補正予算論が台頭。税収は見積もりを下回っており国債増発は必至

 

 英国のEU離脱を受け、与党内で大型の景気対策を求める声が高まっている。中には20兆円という数字まで飛び出しており、赤字国債の増発は避けて通れない状況となっている。日本の財政に歯止めをかける方法はもはや存在していないようだ。

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 自民党の二階総務会長は、安倍首相に総額20兆円の景気対策を提言した。15兆円は国費で対応するが、残りの5兆円は財政投融資で手当するという。同じく自民党の下村総裁特別補佐も10兆円を超える補正予算が必要と発言しており、党内では、10兆円以上の景気対策というのがほぼ既定路線となりつつある。

 当然のことながら、景気対策には財源が必要だが、今のところ、手当できる見通しはない。2015年度の税収は、円高の進行による企業業績の悪化によって当初の見積もりを下回る状況となっている。これまで政府の予算編成では、税収を低く見積もって予算を作り、上振れ分を補正予算の財源にするという手法が用いられてきたが、このやり方がとうとう通用しなくなった。

 今期以降の企業業績も振るわない可能性が高く、税収の伸びに期待することは難しい。10兆円を超える景気対策の実施は、事実上、赤字国債の増発を意味することになる。

 本来であれば、ここで財政への懸念が台頭するところだが、今の日本には将来のことを考える余裕はすでになくなっている。また都合のよいことに、円高への対応から、日銀に対しては追加緩和の圧力が日増しに高まっている。一部からは年2回の緩和という声もあがっており、これが実現すると、国債は日銀がいくらでも買ってくれることになる。

 日本の政治環境では、財政肥大化を自律的に食い止めることはもともと難しいことだが、これまでは、日銀の買い余力の限界が実質的にストッパーの役割を果たしてきた。だが、市中に国債がなくなりつつある中で、2回の追加緩和ということになれば、国債の供給源はもはや新発の赤字国債しかない。量的緩和策の限界という抑止装置もここで外れてしまうことになる。

 日銀が追加緩和に踏み切り、大型の景気対策が実施されれば、景気の大きな落ち込みは回避できるかもしれない。だが日本経済は基本的に米国経済に依存しているという現実を多くの人は忘れている。
 国内では米国の景気の先行きについて悲観的な見方をする人が多いのだが、もしそれが事実なのだとすると、米国経済の影響をもっとも受けるのはほかでもない日本である。

 もし米国経済がリセッション入りするような状況となれば、大型の景気対策や追加緩和はほとんど無意味になってしまうだろう。いつかは分からないが、これらが限界に達してしまった時には、いよいよ為替は反転し、金利上昇という望ましくないシナリオが始まることになる。

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