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日本企業の役員報酬は果たして高いのか安いのか?

 

 東京商工リサーチは2016年6月29日、2016年3月期において1億円以上の役員報酬を受け取った役員がいる企業は186社だったと発表した。個別企業では三菱電機が最多の23人となっている。

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 日本企業の役員報酬は国際的に見て安いといわれてきたが、最近では上昇傾向が顕著となっている。ただ、高額報酬をもっているのは、外国人の雇われ経営者であることが多く、その点においては日本の環境はまだ特殊かもしれない。ただ、実績が伴わないにもかかわらず役員報酬だけはグローバル水準に引き上げるケースも散見され、投資家は警戒感を強めている。

 今回の調査でトップになったのは退任が決まったばかりのソフトバンクのアローラ氏で報酬額は64億7800万円だった。このほか日産自動車のゴーン氏(10億7100万円)、武田薬品工業のウェバー氏(9億500万円)など、外国人のプロ経営者の名前が並ぶ。

 ただ、ソニー社長の平井一夫氏のように内部昇格者の日本人としては破格の7億9400万円をもらっているケースや、三菱電機のように23人が1億円突破というケースも出てきている。日本企業がグローバル水準の業績を上げているのであれば、相応の高額報酬を得ることは何の問題もないが、現実はそうでもない。

 ソニーは劇的な復活を遂げたと言われているが、2016年3月期の当期利益はわずか1480億円である。一方、アップルの2015年12月期の当期利益は534億ドル(約5兆5000億円)とソニーの40倍近い。同社CEOのクック氏の役員報酬は1028万ドル(約10億円)なので、平井氏と大差ない水準である。
 ソニーは業績については完全に日本型ドメスティック企業だが、役員報酬だけはグローバル水準になっているようだ。三菱電機についても、当期利益率が5.2%と特別に高い水準ではない。

 一方、トヨタ自動車の豊田章男社長のように世界トップ・レベルの業績を上げていながら、わずか3億5000万円しかもらっていないケースもある。豊田氏が創業家出身で株式も多数保有しているという状況を考慮に入れても、かなり安いと判断してよいだろう。

 このほか、高額報酬として名前があがった日本人経営者としてはファナックの稲葉善治氏などがある。稲葉氏の役員報酬は6億9000万円だった。
 ファナックは超高収益企業であり、2016年3月期も当期利益率25.6%という好業績を残している。同社はこれまで秘密主義を貫いており、非オーナー企業であるにもかかわらず経営者の世襲が行われるなど、ガバナンス上はいろいろと問題があった。
 だが圧倒的な高収益を出すことで株主を納得させてきたことに加え、最近では投資家に対する姿勢もかなり変化している。9億6000万円という金額は十分に納得できる水準だろう。

 これまで日本企業の役員報酬はグローバルに見て安いといわれてきた。だが最近ではこの状況は変わりつつある。

 業績が伴わないのに役員報酬だけはグローバル水準に引き上げる企業がある一方、割安な役員報酬にとどめているところもある。こうした状況は、日本の役員報酬が適性水準に落ち着くまでの過渡期と考えられなくもないが、日本企業が完全に衰退モードに入っている予兆と捉えることもできる。
 つまり少ないパイをめぐってその奪い合いが始まっているという図式である。前者であることを願いたいが、果たしてどうなるだろうか。

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