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EU離脱をめぐる市場の反応。英国の株価はむしろ上昇、欧州側が大幅下落のナゼ?

 

 英国のEU離脱をめぐって一度は落ち着いた金融市場が再び動揺している。ドイツ銀行の株価が大幅に下落しているほか、イタリアでは銀行の不良債権問題が再びクローズアップされている。英国本体よりもむしろ欧州大陸側の影響が大きいことが意識され始めている。

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 ドイツ銀行は以前から赤字決算が続いており、もともと株価の下落が進んでいた。そこにEU離脱というショックが加わったことで拍車がかかった。著名投資家のジョージ・ソロス氏がドイツ銀行株を空売りしたという話が伝わったことも影響を大きくしたかもしれない。イタリアでは再び不良債権問題が取り沙汰されるようになり、金融システムに対する不安が高まっている。

 英国の離脱問題は、当初、英国に対する影響が大きいかと思われたが、そうではなく欧州大陸の方がより深刻な打撃を受けるとの認識に変わりつつある。離脱後の株価の推移はこうした状況をよく表している。

 英国の株価指数であるFTSEは、離脱前の6月23日は6338.1だったが、7月6日の終値は約2%上昇の6463.59となった。一方、ドイツの株価指数DAXは同じ期間で8.6%の下落、フランスのCACもやはり8.5%の下落だ。米国のダウはほぼ横ばいの状況である。

 英国の株価は下落するどころか離脱を期にむしろ上昇、欧州との経済的関係が薄い米国は横ばい、欧州は大幅な下落という状況である。
 長期的に見れば英国もEU離脱の影響を免れないが、短期的にもっとも影響が大きいのは、欧州全域に展開するグローバル企業の業績である。こうした企業は英国よりも欧州大陸に多く、EU側にマイナスの影響が出やすい。

 また金融システムもEU側は各国が密接に連携しており、連鎖的に危機が波及しやすい状況にある。リーマンンショックの教訓から、危機の連鎖を防ぐ仕組みが出来上がっているので、過度な心配は不要だが、今回の離脱の影響は、むしろEU側で深刻であることがはっきりしてきたとみてよいだろう。

 ちなみに日経平均は同じ期間で5.3%も下落しており、欧州大陸に匹敵するレベルである。ドル建てで見れば影響は緩和されるが、日本は欧州大陸との関係がもっとも希薄であることを考えると、かなりのとばっちりである。

 市場というのは残酷であり、もっとも脆弱なところが真っ先に攻撃されてしまう。日本経済と日本市場が国際的に見てもっとも弱い市場であることを考えると、日本ばかりが被害を受けるという現実については、甘んじて受け入れるしかないだろう。

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