ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

米雇用統計はポジティブサプライズ。米株は意外にしぶとい可能性も

 

 米労働省は2016年7月8日、6月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農業部門の雇用者数は前月比28万7000人増となり、市場予想を大幅に上回った。想像以上のポジティブ・サプライズに市場には安心感が広がっているが、利上げが先送りされるとの観測は変わっていない。

usakoyoutoukei201606

 米国では新規雇用者数の増加が20万人を超えていると好景気とみなされる。今年に入ってから10万人台になることが多く、景気のピークアウトが懸念されていた。特に5月の雇用統計は前月比3万8000人増となり、市場予想の3分の1にも満たない水準にとどまった。同日の株式市場は一時140ドル以上の下落となり、為替市場では一気に円高が進んだ。

 6月の結果も同じように低水準だった場合、景気失速が濃厚となるが、大幅なプラスだったことでその懸念はひとまず和らいだ。ただ5月の増加数は3万8000人からさらに下方修正され1万1000人となってしまった。3カ月の増加数の平均は14万7000人であり、総合的に見て状況が大きく改善したわけではない。

 英国のEU離脱など世界経済の不透明感は高まっており、今回の結果を受けてFRB(連邦準備制度理事会)が利上げを決断すると見る市場関係者はほとんどいない。為替もむしろ円高に振れている状況だ。

 もっとも、株式市場は利上げが遠のいたとの観測から買いが進んでおり、ダウ平均株価は再び最高値をにらむ展開となっている。現在、集中的に買われているのは、公共や通信など、安定的で高配当な、いわゆるディフェンシブ銘柄である。成長株は買われておらず、市場のファンダメンタルは弱い。

 銘柄の物色状況を考えると、株価は近くピークアウトするとのシナリオが描けるが、必ずしもそうとはいえない。世界経済の不透明感から、当分の間、利上げは凍結される可能性が高い。米国の金利は史上空前の低さであり、高配当銘柄の優位性も続くことになる。

 米国景気が深刻な景気後退に突入し、こうしたディフェンシブ銘柄の業績まで悪化する形にならなければ、高配当銘柄の優位性は継続し、米国株は意外としぶとく上昇を続けるかもしれない。

 こうした図式が続いた場合、日本株には明らかにマイナスとなる。米国の実質金利が上昇しないため円安に転換できず、日本企業の業績は伸び悩む。参院選で与党が勝利したことから、安倍政権は財政出動に踏み切る可能性が高いが、大きな効果は得られないだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

businessman
2014年度の実質成長率見通しは1.3%に下落。その理由は消費増税ではない?

 政府の2014年度における経済成長見通しがほぼ固まった。物価変動の影響を除いた …

yokohamaginkou
とうとう動き出す地方銀行の再編。人口減少への懸念から金融庁が最後通牒?

 地方銀行の再編が加速しそうな雰囲気となってきた。複数の有力地銀が相次いで経営統 …

jdiishikawa
政府がジャパンディスプレイの株売却を示唆。資金繰り悪化との報道も

 政府が全面的に支援している日の丸液晶メーカー・ジャパンディスプレイ(JDI)の …

tosho02
アベノミクスによる株高で世帯貯蓄額が大幅増加。ただし恩恵は富裕層のみ

 総務省は2014年5月16日、2013年の家計調査報告(二人以上の世帯)を発表 …

kousaihi
「焼け石に水」にすらならない企業の交際費非課税案。もはや日本経済は末期症状

 来年4月の消費税増税対策の一つとして、大企業における交際費の一部が非課税となる …

usakoyoutoukei201403
良好な雇用統計にも関わらず、米国株が大幅下落。潮目は変わったのか?

 米労働省は2014年4月4日、3月の雇用統計を発表した。非農業部門の新規雇用者 …

inakagurashi
田舎暮らしに憧れる都市部の若者が増加傾向。経済的要因が影響?

 内閣府は2014年8月11日、「農山漁村に関する世論調査」の結果を発表した。都 …

kurafutohaintsu
ハインツとクラフトが合併。バフェット氏らしく株主利益を強く意識したスキームに

 米食品大手のクラフト・フーズ・グループとHJハインツは2015年3月25日、2 …

sangiinabe01
総額5.5兆円の補正予算が可決成立。だが昨年より規模が小さく、効果は限定的

 参議院は2014年2月6日、消費税増税をにらんだ経済対策を柱とする2013年度 …

sony
ソニーが業績見通しを大幅上方修正。だが実態は不動産の売却益

 ソニーは4月25日、2012年度(2012年4月~2013年3月)の業績見通し …