ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

英国首相に実務派のメイ内相が就任。市場には安心感が広がる

 

 英国の次期首相を選ぶ保守党の党首選は2016年7月11日、テリーザ・メイ内相と争っていたレッドソム・エネルギー担当閣外相が撤退を表明したことでメイ氏の勝利となった。
 メイ氏はEU残留派だったが、残留を求めることはせず、就任後ただちにEUとの交渉を進める意向を明らかにしている。実務能力の高い人物が首相に就任することが決まり、市場には安心感が広がっている。

may

 メイ氏は公立進学校からオックスフォード大学に進み、英国のイングランド銀行に勤務。1997年に下院議員となり2010年から内相を務めている。父親は英国国教会の司祭で本人も国教会である。

 保守党内では現実派・実務派として知られ、スタンドプレーをあまり好まない。EUについてはもともと懐疑的だったが、現実主義的な立場からEU残留を支持していた。このためEU残留のキャンペーンには積極的に関わっていない。

 英国は国民投票でEU離脱を決定したが、離脱派の急先鋒であったジョンソン前ロンドン市長が党首選に出馬しないことを表明し、党内には混乱が広がっていた。党首選にはメイ氏など5人が立候補し、レッドソム・エネルギー担当閣外相との一騎打ちという状況になった。

 ただレッドソム氏は初当選が2010年と政治でのキャリアが浅く、閣僚経験もない(閣外相は日本の副大臣に相当)。また金融機関での経歴を過大に説明していたという報道もあり、かなり不利な情勢となっていた。

 メイ氏は事実上の首相就任を受けて「EU離脱はそれ以上でもそれ以下でもない」と述べ、最善の条件で離脱できるよう全力を尽くす方針を明らかにした。少なくともEUとの交渉がどう進むのか分からないといった不透明感は払拭されることになる。

 またメイ氏は、英国企業がEU市場に従来に近い形でアクセスできることを最優先課題とすると説明しており、キャメロン政権が掲げていた緊縮財政も継承する見込み。EUとの新協定や今後の政策が現実的な内容であることが期待できるため、市場関係者は安堵している。

 メイ氏の実務的なスタンスはEU側のリーダーであるドイツのメルケル首相にも通じるところがある。メルケル氏とのコミュニケーションがスムーズに進めば、安心感はさらに高まるだろう。市場に相当なショックを与えた英国のEU離脱問題だが、最悪の展開は回避できた可能性が高い。

 - 政治, 経済 ,

  関連記事

no image
IMFが指摘。日本の金融機関はもうこれ以上、国債を買い支えることはできない

 IMF(国際通貨基金)がいよいよ日本の国債消化能力ついて懸念を表明し始めた。 …

kansha
公務員宿舎の家賃を2倍に値上げ。公務員たちのトンデモなホンネとは?

 政府は、これまで批判の声が大きかった国家公務員宿舎の家賃を2倍に引き上げる方針 …

daiei
イオンがダイエーを完全子会社化。そのブランド名も消滅させる理由とは?

 イオンは2014年9月24日、傘下のスーパー「ダイエー」を2015年1月に完全 …

ooigenpatu
大飯原発の停止要請をめぐる、政府と原子力委員会の「意味不明」

 唯一稼働中の原子力発電所である関西電力大飯原子力発電所をめぐって、政府と原子力 …

abesenkyo201412
衆院選は予想通り与党が圧勝。ただ今後の政治日程が厳しいことに変わりはない

 第47回衆議院選挙は大方の予想通り、自民・公明両党の勝利となった。とりあえずア …

nihondensan
シャープ元社長の片山氏が日本電産副会長へ。永守氏の後継者問題はどうなる?

 日本電産が、シャープの片山幹雄元社長を副会長執行役員として迎え入れる。日本電産 …

cvn73gwyokosuka
原子力空母ジョージワシントンが米国に帰還。後継空母は何とか維持された状況

 米第七艦隊の主力空母「ジョージ・ワシントン」は2015年5月18日、米国に帰還 …

hitachieikoku
日立が英国鉄道事業で水漏れトラブル。だが、もっと大きな逆風が吹いている?

 日立が総力をあげて取り組んできた英国の鉄道事業で、新型車両のお披露目の当日に客 …

ichimanen
インフレが進むと実質的に増税となる「インフレ課税」って何だ?

 消費税増税を最終判断する時期が近付いてきたことで、増税の是非に関する議論が活発 …

fomc201604
米国が急激に利上げモードにシフト。日本の財政出動は完全にハシゴを外された状態に

 米国が急速に利上げモードにシフトしている。市場はまだ疑心暗鬼だが、地区連銀の各 …