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東京の税収を地方に強制分配せよと主張していた増田氏の立候補で、東京はどうなる?

 

 東京都知事選挙に増田寛也元総務相が立候補を表明したことで、東京都の税収が地方に強制分配されることの是非が話題となっている。この問題は過去何度も議論されてきたが明確な結論は得られていない。

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 日本の税収は国税偏重となっており、地方自治体は強固な税収基盤を持っていない。地方自治体が独自の財源にできるのは、法人事業税や住民税、固定資産税などに限定されている。消費税と所得税という大きな財源は国が握っているので、地方は国からの交付金があってはじめて予算を組めるというのが実態だ。

 現在、地方交付税交付金はおよそ15兆円に達しており、これに加えて各種の補助金が地方に分配されている。地方自治体が自主的に財源を確保できる割合は、自治体によっても異なるが平均3割程度といわれており、いわゆる「3割自治」という言葉はここから来ている。
 ちなみに東京都は47都道府県の中で唯一、交付金を受け取っていない「不交付団体」となっている。つまり都道府県では東京都だけが独自の財源で運営できる状態にある。

 政府は、東京都の豊富な税収に目を付け、これを地方に強制配分する制度を強化した。この政策をリードしたのが当時総務大臣だった増田氏である。増田氏は、地方法人特別税を導入し、これによって東京都は延べ1兆円の税収を失っている。
 地方法人特別税は消費税の増税に伴って規模が縮小されたが、今度は地方法人税が導入されており、同様の仕組みが継続している。消費税が10%に増税された場合には、東京都の負担はさらに大きくなる見込みだ。

 増田氏はもともと建設官僚でその後は岩手県知事を務めており、かねてから東京集中を強く批判し、地方への分配を主張してきた。しかし、今回の立候補にあたっては、これまでの主張を撤回。「保育、子育て、東京五輪などがあり、今後は都民の税を守る」と発言している。

 東京への一極集中とカネの再配分の問題はこれまで何十年にもわたって議論の対象となってきた。しかし、経済成長でとりあえずパイが増えていたことから、明確な結論を出さずに誤魔化してきたというのが現実である。しかし今後は経済のパイが縮小していくことは確実であり、議論を棚上げすることができなくなっている。

 このところあらゆる分野で政策の方向性をめぐって混乱が見られるが、その最大の原因は、玉虫色に決着するための原資となってきた経済成長が止まってしまったからである。
 都民の利益とは逆の主張をしてきた人物を都知事候補として担がなければならないといった皮肉な事態も、こうした混乱の延長線上にあるのかもしれない。

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