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ソフトバンクが英ARMを3.3兆円で買収。最終的な狙いは純粋な投資?

 

 ソフトバンクグループは2016年7月18日、英国の半導体設計大手アーム・ホールディングスを買収すると発表した。買収金額は240億ポンド(3兆3000億円)と日本企業による海外M&A(合併・買収)としては過去最大。

softbankarm
 ARMは、スマホ向けCPU(中央演算処理装置)の設計では圧倒的なシェアを確保している。今後、あらゆるデバイスがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)市場が拡大すると予想されており、こうした機器類のチップがARM社の設計になる可能性は極めて高い。今後10年のビジネスはほぼ確約された状況にある。

 今回の買収をきっかけにソフトバンクはIoT事業に本腰を入れると説明している。確かにソフトバンクは通信会社なので、IoT市場拡大の恩恵を受ける立場ではあるが、直接的にIoTビジネスを行っているわけではない。
 その意味では、ARM社の買収による短期的なシナジー効果は薄いと考えられる。ただARM社は今後のネット社会の中核となる企業のひとつであり、優良な投資案件であることは間違いない。

 近い将来、他の企業がさらに高い価格で買収をオファーする可能性も十分にあり、結果的に、極めてリターンの高い投資案件に化けるかもしれない。今後のネット市場のカギを握る企業を保有していることの間接的なメリットや、純粋な投資対象としても魅力的であることなどを総合した結果、買収が得策と判断したものと考えられる。

 今回のM&Aにあたっては、ARM社の15日の終値に対して約4割のプレミアを上乗せしているが、一連の状況を考えると概ね妥当な水準だろう。

 ソフトバンクは、保有するアリババ株などを一部売却することですでに2兆円弱の資金を得ている。これに新規の借入れを加えて買収資金に充当する予定。同社は2016年3月末時点ですでに12兆円の有利子負債があり、今回の買収でさらに借り入れは増えることになる。

 同社にはアリババの含み益が数兆円あり、今回の買収によって財務体質が決定的に劣化するわけではないが、売却益を使った財務改善の見込みはほぼなくなった。今後は事業が順調に展開することで財務を改善していくという道筋しか残っていない。
 孫正義社長は、常に背水の陣となる買収を仕掛けてきたが、今回も過去と同様、退路を断った決断ということになる。

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