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低所得者の住居支援に空き家を活用。成熟国家としては正しい方向性

 

 国土交通省は高齢化の進展によって公営住宅が足りなくなることから、空き家を活用する制度を導入する。家賃やリフォーム費用の一部を補填することも検討しているという。

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 全国には空き家が約820万戸あり、この数は20年で1.8倍に増加した。今後は世帯数の減少が予想されるため、さらに空き家が増えると予想されている。
 一方、公営住宅は216万戸あるが、年金しか収入源がない低所得者が増えていることから入居しにくい状況が続いている。東京の公営住宅の倍率は22.8倍、全国平均でも5.8倍とかなり高い。今後は年金生活者の割合がさらに増加するので、公営住宅は確実に不足するが、総人口は減少しているので、新規に公営住宅を建設することも難しい。

 こうした状況を解決するための手段のひとつが空き家の活用ということになる。具体的には、空き家を登録するシステムの整備、家賃の一部補助など入居者の負担軽減策、所有者が実施するリフォーム代金の補助制度などが検討されている。

 日本のこれまでの住宅行政は、基本的に新築に大きく偏っていた。住宅着工を促進させることで経済のかさ上げをするという途上国型の政策からなかなか抜け出せなかったのである。日本の住宅流通市場における中古住宅の割合はわずか13%しかないが、欧米各国はまったく逆で、圧倒的に中古住宅のシェアが高い。

 中古が軽視されるため資産価値が生まれず、これによって長期間使用できる良質な住宅が建設されないという悪循環となってきた。中古住宅を活用しようという動きが活発になっているのは、成熟国家としては正しい方向性である。また、低所得者の住宅確保という点でも必要な措置だろう。

 問題はやはり住宅の質にありそうだ。日本の住宅の質は極めて低く、特に空き家になった家の中にはリフォームしても住むことが困難というものも少なくない。
 基準を緩め過ぎると悪質が住宅が提供され、厳しくしすぎると物件が減ってしまうリスクがある。安価な住宅の提供を優先しつつも、うまくバランスを取るという微妙な舵取りが要求される。

 また税制との整合性も重要だろう。現在の税制では、賃貸に出すと相続税の評価額が極めて安くなる。このため採算を考えずに新築アパートを建設するケースが後を絶たず、これが過剰な住宅供給の一因にもなっている。
 空き家対策と同時に、新築の抑制策も進めていないかと、いつまで経っても粗末な住宅ばかりという状況から脱却できないだろう。

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