ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日銀が事実上の追加緩和見送り。金融政策の方向性について逡巡していることを自ら証明

 

 日銀は2016年7月29日に開催された金融政策決定会合において、ETF(上場投資信託)の買い入れ増額を決定した。国債の追加購入やマイナス金利の拡大は行われず、事実上、緩和を見送った形となった。

kurodasosai

 市場は、今回の金融政策決定会合において日銀が追加緩和に踏み切ると予想していた。おそらく参加者の8割以上が追加緩和を見込んでいたはずである。ところがフタを開けてみると、追加緩和もマイナス金利拡大も行われず、金融政策とは直接関係しないETFの購入拡大を決めただけだった。
 さらに不可解なことに、次回の金融政策決定会合において「物価動向や政策の効果について総合的な検証を行う」と意味不明の方針が発表された。

 市場ではこの文言の解釈について憶測が飛び交っている。国債購入枠の拡大など追加緩和を示唆している、物価目標の見直しなど量的緩和策の長期間戦略化を示しているなど、解釈は様々だ。

 いずれにせよ今回の決定によって、日銀が現在の金融政策のあり方について逡巡していることを内外に示してしまった。中央銀行が持つ影響力を低下させることは確実であり、これは失態と解釈して差し支えないだろう。

 仮に次回の会合で追加緩和を決定したとしても、追い込まれての決断であることが明らかになってしまうし、逆に量的緩和策の後退ということになれば、決断に迷っていたことを自ら証明してしまう。
  また、今回の決定について市場が失望することをかなり恐れていたことも分かってしまった。とにかく次回まで期待をつなぎたいというホンネが明らかに垣間見えるからである。

 もっとも実体経済は、すでに量的緩和策の見直しを示唆している。7月29日に発表された6月の消費者物価指数は、代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」が何とマイナス0.5%に落ち込んだ。2%の物価目標の達成が不可能であることはほぼ確実である。物価目標の引き下げなど、現実的な対応策を講じないと、中央銀行の信頼性を損ないかねない状況だ。

 国債の買い入れについても、市場では国債が枯渇し始めており、これ以上買い入れ枠を拡大すると、財政ファイナンスにますます近づいてしまう。量的緩和策を長期戦に持ち込むためには、購入枠の縮小など現実的な対応が必要だろう。

 次回の会合で、こうした戦略転換が発表されるのだとしたら、日本経済はいよいよ大きな転換点を迎えることになる。

 - 政治, 経済 , ,

  関連記事

apartron
地方の金融機関でアパートローンが急拡大。あらたな不良債権予備軍?

 アパート向けの融資がバブルの様相を呈してきている。地方では、入居者不在のまま建 …

bukkajoushou
足元で東大物価指数が急上昇。急激な円安で消費者がとうとう値上げを受け入れ?

 足元で物価が再上昇する兆しが見えてきた。東京大学が中心となって作成した東大物価 …

monka
文部科学省が土曜授業復活を検討。だが現場の教師は嫌がっている?

下村文部科学相は15日、閣議後の記者会見で、公立学校の土曜授業の復活(学校週6日 …

it02
ITが仕事を奪うとの書籍が話題に。だが現実のIT化はもっとイヤラシイかもしれない

 コンピュータによって人々の仕事が奪われ、最終的にはごく一部の知的エリートと、肉 …

nyse
世界景気の後退を受けて下落が続く米国株。焦点は原油安のもたらす影響

 米国株式市場の下落が続いている。10月9日のダウ平均株価は、前日比334ドル9 …

ronaldreganyokosuka
米空母ロナルド・レーガンが横須賀に配備。海自の護衛艦いずもが先導

 米第七艦隊の主力空母として昨年5月まで横須賀基地に配備されていた「ジョージ・ワ …

saikousai
波紋を呼ぶ前内閣法制局長官の発言。やはり日本では三権分立は無理なのか?

 前内閣法制局長官で最高裁判事に任命された山本庸幸氏は21日、記者会見において「 …

putingunjiryoku
ウクライナ情勢への懸念から米国への資金流出が続く。プーチン政権には打撃

 欧州景気に対する不透明感とウクライナ情勢への懸念から、投資資金が欧州から米国に …

kokkaigijido
ムーディーズが日本国債を格下げ。だが日銀の大人買いで金利は動かず

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2014年12月1日、日本 …

no image
中国向けの輸出が失速し北米と再逆転。だが事態はもっと深刻である!

 日本の輸出先としての中国の存在感が低下している。  財務省が発表した2012年 …