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天皇陛下による生前退位のご意向表明がここまで遅れた理由

 

 天皇陛下は2016年8月8日午後3時、ビデオメッセージで「お気持ち」を表明する。退位という言葉は直接用いないものの、皇太子様への譲位についてご自身の考え方を示される。
 陛下は高齢であるため以前から何度も退位の意向を周辺に示していたといわれるが、安倍政権側の対応は鈍かった。その理由は、憲法改正のスケジュールと安倍政権の支持層にあるといわれる。

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 現在の皇室典範では生前退位について規定がなく、これを実現するためには皇室典範を改正する必要がある。以前、小泉首相は女性天皇の可否も含め、皇室典範の改正を打ち出したことがあったが、議論は大混乱となり結局立ち消えになってしまったという経緯がある。
 このタイミングで皇室典範を議論するということになると、当分の間はこのテーマに忙殺されることになる。憲法改正を急ぎたい安倍政権が、皇室典範の議論を嫌ったとしても不思議ではない。

 また一部の安倍政権支持層は皇室典範の改正や陛下の退位そのものに反対しているといわれる。このタイミングで皇室典範を改正するとなると、当然、女性天皇の可否について議論を行う必要が出てくる。
 日本はもともと女性天皇を認めているが、明治になって突然その方針が変わり、現在の皇室典範では女性天皇は認めていない。安倍政権支持層の一部は、明治以降の慣習を絶対視しており、女性天皇に関する議論そのものを嫌悪している。

 陛下がマスコミへのリークというイレギュラーな形でご意向を表明する形になったのも、このままでは生前退位の話がなかったことにされてしまうとの危機感からと考えられる。
 実際、陛下がご意向を表明された直後の政府関係者の発言はかなり冷淡であった。安倍首相は「コメンとを差し控える」と発言し、宮内庁幹部に至っては「そのような事実はない」とまで言い切っている。

 民主憲法の制定によって天皇は国民の象徴となり、政治とは切り離された。しかし、天皇陛下は国会の招集を行うなど、国家元首としての役割が明確に憲法に示されている(国事行為)。民主国家における国家元首が、自身の進退について意思表明できないということはあってはならない。
 ましてやその理由が特定の政治勢力の意向ということでは、それこそ天皇の政治利用につながってしまう。

 陛下がわざわざこのような形でご意思を示されたということは、今後の皇室のあり方も含め、幅広く国民に議論して欲しいという陛下からのメッセージと捉えるべきだろう。

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