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5兆円の損失を公表したGPIFがスマートベータ型運用にシフト。果たして儲かるのか?

 

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する銘柄の公表に踏み切った。GPIFは基本的にTOPIXなどの指数を基準にポートフォリオを組んでいるので、時価総額の大きい主要銘柄が上位に並ぶ。
 ただ前年度からGPIFは超過収益を目指し、指数連動型の運用比率を低下させている。これは吉とでるのだろうか、凶と出るのだろうか。

kabuka
 GPIFが公表したのは2015年3月末時点におけるポートフォリオ。GPIFは以前、指数に連動するパッシブ運用の比率を75%程度まで下げ、逆にアクティブ運用の比率を25%まで高めていた。

 パッシブ運用は、基本的に指数に連動するポートフォリオを組み、市場の成り行きに任せる運用方法である。大きく儲かることもないが、市場の動きを下回る可能性は低い。
 一方、アクティブ運用は、運用者が積極的に銘柄選定などを行い、市場平均を上回るリターンを目指す手法である。アクティブ運用はコストがかかるため、よほど上手な運用でなければ、あまり効率がよくないともいわれる。

 安倍政権がGPIFの運用方針変更に乗り出し、株式中心のポートフォリオに急激にシフトしたことから、GPIFはパッシブ運用の比率を上昇させ、アクティブ運用の比率を下げ始めた。公表対象となった2015年3月末において、パッシブ運用の比率は87%まで上昇している。
 アベノミクスによる円安で株価上昇の確度が高まったことや、株式に30兆円もの資金を投入しているという状況を考えると、リスクの高いアクティブ運用比率を下げた方が合理的と判断した可能性が高い。

 ところがGPIFはその後、パッシブ運用の比率を再び下げ、アクティブ運用にシフトしている。株価が下落し、全体的に収益を上げにくくなっていることが原因と考えられる。2015年度についてはパッシブ運用が82%に低下し、逆にアクティブ運用が18%に上昇した。

 ただ、GPIFは従来型のアクティブ運用に戻しているわけではなく、従来型アクティブ運用とは別枠でスマートベータ型運用へのシフトを進めている。明確な定義はないがスマートベータ型運用は、インデックスに準拠しながらも、従来とは異なる基準で銘柄を選定した運用手法を指す。

 GPIFは詳細を明らかにしていないが、このところ比率を増やしているのは、あえてボラティリティの低い銘柄に集中させる最小分散投資の手法と考えられる。
 このところ量的緩和策やマイナス金利政策で市場が混乱しており、リスク(ボラティリティ)が高いと期待収益も高いという関係が崩れている。歴史的な低金利からリスク資産にお金は向かうものの、リスクの高い銘柄が回避され、結果的に低リスクの銘柄が上昇するという逆説的な状況である。
 このような環境では、低リスク銘柄の比率を上げ、ポートフォリオを絞った方が逆にパフォーマンスがよい。スマートベータ型の運用がうまくいけば、今期、GPIFは市場平均を上回るパフォーマンスを出せるかもしれない。

 問題は市場の潮目にどう対応するかである。市場が大きく変化する前に、運用手法の見直しができればよいが、対応が遅れてしまうと、一気にパフォーマンスが悪化する可能性がある。こうした状況が年金運用にとってよいことなのかは何ともいえないが、株式中心のリスク資産運用に切り替えた以上、こうした悩みは避けて通ることができない。

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