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ようやく最低賃金が大幅に引き上げられるが、恩恵の多くは中間層に?

 

 諸外国に比べて低く抑えられていた日本の最低賃金がようやく引き上げられる。最低賃金の引き上げによって低所得層の消費が増えるとの期待も出ているが、現実には思った程の効果は得られないとの指摘もある。

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 厚生労働省は2016年7月、最低賃金に関する審議会を開催し、最低賃金の目安を全国平均で822円とした。現行からは24円の引き上げであり、引き上げ幅としては2002年以降ではもっとも大きい。

 現在、日本の最低賃金は全国平均で798円となっている。最低賃金は地域ごとに異なっており、もっとも高い東京は907円、もっとも安い沖縄などでは693円である。今回の改定によってすべての地域で最低賃金が700円を超える見込み。

 ここ数年、円安によって輸入物価が上昇し、労働者の実質賃金は5年連続でマイナスとなっている。賃金が物価に追い付かないと消費も増えないことから、安倍政権では最低賃金を毎年3%ずつ引き上げ、最終的には1000円を目指すとしている。今回はその手始めということになる。

 日本の最低賃金は諸外国と比べてかなり低く、社会政策として見た場合、今回の改定は素直に評価してよいだろう。だが最低賃金の引き上げが消費を増やすのかという点については、これを疑問視する声もあがっている。その理由は最低賃金労働者の数や属性である。

 内閣府によると、最低賃金付近で働いている労働者は500万人程度いるが、多くが短時間労働である。このため最低賃金が20円引き上げられても、経済効果としては900億円ほどしかなく、経済全体から見るとごくわずかである。

 しかも最低賃金労働者の約半数が主婦のパートタイム労働であり、家計所得が500万円を越えているという調査もある。つまり最低賃金労働者というのは、低所得層ではなく、多くが中間層の専業主婦なのである。
 そうなってくると、賃金の上昇で増えた分がそのまま消費されるわけではなく、貯蓄に回ってしまう可能性もある。量的緩和策で現金が余っている状況で貯蓄が増えても、経済効果は限定的となるだろう。

 経済全体として大きな効果を得るためには、企業の生産性を向上させ、給与の源泉である付加価値そのものを増やす政策が必要となる。だが、生産性を向上させるためには雇用市場の流動化は避けて通れない。今の日本の風潮では許容されない可能性が高いだろう。

 - 政治, 社会, 経済 ,

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