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公的年金を運用するGPIFが、とうとう赤字運用に転落。今後の年金は株価次第?

 

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2016年8月26日、2016年4~6月期の運用実績を発表した。収益額は5兆2342億円の赤字、収益率はマイナス3.88%となった。株式への運用シフトを実施してからの収益はマイナス1兆962億円となり、株式運用後としては初の累積赤字に転落した。

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 資産別の収益では、国内債券がマイナス4.0%、国内株式がマイナス7.4%、外国債券がマイナス8.0%、外国株式がマイナス7.8%となった。
 この四半期で日経平均は1万6759円から1万5576円に約7.0%下落している。米ダウ平均株価は1万7685ドルから1万7930ドルと上昇したが、為替は1ドル=112.4円から102.59円と10円ほど円高が進んだ。日経平均とダウ平均株価、為替の動きがそのまま収益に反映した形だ。

 GPIFは2014年10月から本格的な株式での運用を行っている。当初は株価の上昇もあり、2015年4~6月期には運用残高が141兆1209億円に達したが、株価の下落とともに残高も減少し、2016年6月末現在では129兆7012億円となっている。2014年10月以降の累積の収益はマイナス1兆962億円となり、本格運用後としては初の赤字に転落した。

 GPIFは、今回の結果を受けて「長期的な観点から運用を行っており、短期的に市場価格が上下しても年金受給に支障を与えることはない」とのコメントを出している。確かに今回の下落で年金の受給額が変わるわけではないが、運用が赤字になったことの影響は大きい。

 日本の公的年金は受給者への支払が、現役世代からの徴収額をはるかに上回っており、毎年の収支が赤字になっている。この赤字を埋め合わせるため、安倍政権はよりリスクの高い株式投資への転換に踏み切った。
 GPIFは投資によって毎年得られた収益の一部を、赤字の埋め合わせのため年金特別会計に資金を返さなければならない。赤字運用が続いた場合には、年金特別会計に対して資産を取り崩して支払いを行う必要が出てくる。

 株価が継続的に下落するような状況になった場合、運用原資を取り崩してでも年金受給を維持すべきなのか議論が紛糾することは必至である。またGPIFはすでに日本の主要企業の大株主となっており、現金化のために株式を売却すると、日本株の下落を加速させてしまう。本当に株式を売却できるのかも大きな課題となって浮上してくるだろう。

 GPIFはすでに予定されたポートフォリオに沿ってほぼ目一杯株式を購入しており、大きな買いは期待できない。当分の間、株価と為替の動きに収益が左右される状況が続くことになるだろう。

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