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小池知事が築地市場移転延期を正式に表明。土壌汚染の実態はどの程度?

 

 東京都の小池百合子知事は2016年8月31日、築地市場の豊洲への移転延期を正式に表明した。小池氏は延期の理由について、安全性への懸念、不透明な費用、情報公開の不足、の3つを挙げている。
 特に安全性については、以前から指摘する声が上がっており、小池氏も調査が完全に終了する前に移転が行われる点を疑問視、来年1月に公表されるモニタリング調査の結果を確認すべきとの考えを示した。

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 豊洲市場の予定地は、東京ガスのガス製造工場だった場所である。1954年から埋め立てが始まり、1956年から1988年まで都市ガスの製造が行われていた。

 現在の都市ガスはLNG(液化天然ガス)だが、当時は石炭からガスを製造する手法が一般的であり、その製造過程においてたくさんの汚染物質が使用もしくは発生していた。実際、予定地の土壌からはタール、ベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなどが検出されている。

 豊洲の土壌が汚染されていることは以前から知られており、東京都は移転に際して環境調査を実施している。
 調査では、地中50センチの土壌もしくは地下水をサンプリングする手法が用いられたが、予定地全域にわたって汚染が広がっているわけではなく、ある部分に集中していることが分かっている。汚染がひどい場所には、製造過程で発生したタールなどが仮置きされていたことがあり、ここから汚染物質が地中にしみ出した可能性が高い。

 東京都では、汚染対策として2メートルまでの土壌を入れ替え、その上にさらに2.5メートルの盛り土を実施している。また地下水については浄化措置を行い、周囲に遮水壁を設置する工事も実施したと説明している。

 ただ、地下4.5メートル以下の土壌では、現在でも基準値の10倍程度の汚染物質が残存していることや、地下水の調査が完全に終了していないことなどを疑問視する声が上がっていた。
 地下に汚染物質が残っている場合、地震による液状化によって地下から汚染物質が噴出するリスクがあるが、都では液状化対策の工事が施されており問題ないとしている。

 東京には、以前、工場だった場所が無数にあり、ある程度の土壌汚染は許容せざるを得ない面がある。また都の環境調査の結果が正しいものであるなら、広範囲に汚染が拡大している状況ではないと考えられる。
 ただ、魚市場という食品を扱う施設であることや、地震のリスクが高まっていることなどから、汚染問題を心配する声が出てくることも理解できる。

 一方、すでに施設が完成しており、1日あたり700万円の維持費がかかっていることや、築地からの移転が完了しないと東京五輪の道路整備に影響が出るなど難問が山積している。小池氏は就任早々から大きな政治的課題を背負ってしまった形だ。

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