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所得格差を示すジニ係数は過去最大。しかし累進課税などで最終的な格差は縮小

 

 厚生労働省は2016年9月15日、2014年度における所得再分配調査の結果を発表した。所得格差を示す「ジニ係数」は過去最大となったが、所得再分配後のジニ係数は0.3759と前回調査よりも多少緩和された。
 日本では所得格差の拡大が進んでいるが、高額所得者からたくさん税金を取ることで、最終的な格差拡大を防いでいる。

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 ジニ係数とは所得の格差を表す指標で1に近いほど貧富の差が激しいことを示している。2014年度のジニ係数は0.5704と過去最大を更新した。つまり日本は年々、所得の差が拡大していることになる。
 給与格差が広がっているという面もあるが、高齢化が進んでいることもジニ係数増加の大きな要因のひとつである。高齢者世帯は勤労者世帯と比べて収入が大きく減るので、その分、格差も拡大することになる。

 一方、日本では世界でもかなり厳しい部類に入る累進課税制度を採用している。高額所得者から多額の税金を徴収しているほか、各種の社会保障給付金もある。これらの措置によって所得の再分配が行われた後のジニ係数は大きく下がり0.3759となっている。

 所得再分配後のジニ係数は過去10年間でわずかではあるが減少しており、最終的な格差は縮小していることが分かる。一般的に景気が悪いと高額所得者が激減するため、格差は縮小するケースが多い。過去20年間、日本では不景気が続いてきたので、所得再分配後の格差が縮小しているのはうなずける話である。

 もっとも国際的に見ると、先進国もしくはそれに準じる国の中では、日本はむしろ貧富の差が激しい部類に入る。この数字とまったく同一条件で比較はできないが、ドイツやフランスのジニ係数は0.3前後となっており、所得の差は少なく平等な社会だ。一方、米国は日本より格差が激しい。

 日本では、累進課税などの再配分措置はそれなりに機能しているが、国際的に見ると日本はまだまだ平等な国ではない。かつて日本には一億層中流という言葉があり、貧富の差が少ない国というイメージだったが、それは正しい認識ではない。今も昔も日本のジニ係数は先進国の中では高いままだ。

 格差水準をどの程度にすべきなのかについては、多くの考え方があるが、日本が平等な国という前提で議論を進めることは避けた方がよさそうだ。

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