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資源価格下落で巨額赤字を抱える三菱商事がローソンを子会社化する事情

 

 三菱商事は2016年9月16日、コンビニ大手のローソンを子会社化すると発表した。ローソンはファミリマートとサークルKサンクスの経営統合で業界3位に転落するという厳しい状況に置かれている。
 一方、三菱商事も資源価格の下落で初の赤字決算に転落するなど業績回復が急務となっている。両社は互いにメリットがあることを強調しているが、現実はそう単純ではない。

lawsonmitsubishi

 三菱商事はローソンの株式の33.4%を持つ筆頭株主となっており、ローソンは三菱商事の関連会社となっている。三菱商事は公開買付(TOB)を実施し、出資比率を50.1%まで引き上げて、ローソンを子会社化する。TOBに要する資金は約1440億円。ローソンは三菱商事のネットワークを活用することで、経営体制を強化できるとしてTOBを受け入れるとしている。

 同社は店舗数においてセブンに次ぐ業界2位の企業だった。しかし、業界3位のファミリーマートと、4位のサークルKサンクスを擁するユニーグループ・ホールディングスが経営統合を実施し、店舗ブランドのファミリーマートへの統一を決定している。新会社は2位に浮上し、ローソンは業界3位に転落することになる。

 ローソンは三菱商事のネットワークを活用して経営力を強化したいとしているが、三菱商事の子会社になることでどのように経営力が強化されるのか、具体的な道筋が見えているわけではない。むしろ今回の子会社化は三菱商事側にメリットが大きいと見てよいだろう。

 三菱商事は資源価格下落の影響を受け、2016年3月期決算において初の赤字決算に転落している。三菱商事は非資源分野のテコ入れが必至という状況だ。
 ローソンは、多くの商品を三菱商事グループから仕入れているが、この比率をさらに上げることができれば、グループ全体の売上げを拡大することが可能となる。仕入れ先の変更はなかなか大変な作業だが、子会社化ということになれば、仕入れ先との交渉もやりやすくなる面がある。

 もっともローソンが三菱グループへの依存度を上げることは諸刃の剣でもある。ローソンにとっては競争力を強化できる魅力的な商材が、他のグループ企業から提供されているという場合、三菱商事との間で利益相反が発生することになる。
 ローソンの利益を取れば三菱商事が機会損失となり、逆に三菱商事側の利益を優先するとセブンの追撃が難しくなる。

 子会社化したことで機動力はアップするだろうが、こうした自己矛盾も抱え込むことになる。一連の施策を成功させるためには、両社は二兎を追うという絶妙な運営を実施する必要が出てくる。実現はそうたやすいことではないだろう。

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