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日銀が緩和の枠組みを金利目標にシフト。量的緩和策は事実上の長期撤退戦へ

 

 日銀は、2016年6月20日と21日に開催された金融政策決定会合において、従来の金融政策の枠組みを変更し、短期金利と長期金利の目標を定める新しい措置の導入を決定した。量から金利への転換としているが、これは撤退も視野に入れた長期戦へのシフトにほかならない。日本の量的緩和策は大きな転換点を迎えたとみてよいだろう。

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 日銀は7月の金融政策決定会合において、2013年4月から実施してきた量的緩和策に関する「総括的な検証」の実施を決定していた。
 今回決定された総括の内容としては、デフレ脱却についてある程度の効果があったとしながらも、日銀が掲げてきた2%の物価目標について、原油価格の下落などから実現に至っていないことを正式に認めるものとなった。

 量的緩和策における本来の趣旨から考えれば、個別の物価要因はインフレ期待に大きな影響を与えないはずだ。しかし、日銀は日本におけるインフレ期待形成メカニズムについてわざわざ言及し、物価目標の実現には時間がかかると説明している。

 これは、持って回った言い方だが、事実上、日本ではインフレ期待は形成されにくいとの主張であり、量的緩和策が長期戦になる、あるいは思ったような効果を得られない可能性があることを表明したものといえる。

 日銀はこの総括をベースに、年間80兆円のペースでマネタリーベースを増加させるという従来の枠組みは維持しながらも、長期金利と短期金利の目標を定めるという新しい方策の導入を決定した。
 具体的には短期金利についてはマイナス0.1%、長期金利については0%程度で推移するよう、マイナス金利や国債の買い入れを実施する。これによってイールドカーブの傾きはある程度、維持されることになる。

 しかし、インフレ期待が形成されにくい状況において、80兆円の買い入れペースを維持するのみということでは、普通に考えれば、これ以上、緩和効果は期待できないことになる。日銀は2%の物価目標が達成されるまで、量的緩和策を続けるとしているが、長期戦になることは確実であり、場合によっては達成が不可能ということも十分にあり得るだろう。

 今回の決定は、事実上、従来の量的緩和策からの方向転換を意味している。物価目標の達成が困難であることを正式に認め、長期戦として取り組む姿勢を明確にした点は評価できる。ただ、今後の舵取りが依然として難しいという状況に変わりはない。

 当分の間、金利は低い水準で推移する可能性が高い。問題は、財政に対する信認など何らかの形で金利上昇が始まってしまうリスクである。景気拡大を伴わない形で金利上昇がスタートしまった場合、これを抑制するのは非常に難しい。

 それまでの間に、膨れあがった日銀のバランスシートが調整できていればよいが、当面は現状維持が続くということになると、それも難しいだろう。今後、市場の関心は、年間80兆円という買い入れペースがいつまで持続できるのかという部分にシフトしていくだろう。

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