ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

政府がジャパンディスプレイの株売却を示唆。資金繰り悪化との報道も

 

 政府が全面的に支援している日の丸液晶メーカー・ジャパンディスプレイ(JDI)の周辺が急に騒がしくなってきた。世耕経済産業大臣はこのまま業績不振が続いた場合には、株式売却もあり得ると発言。その後、JDIが銀行団に500億円の融資を要請したとの報道も出ている。同社の経営はいよいよ正念場を迎えそうだ。

jdiishikawa

 JDIは、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合して2012年2月に発足した。政府系ファンドの産業革新機構がほとんどの株式を所有する事実上の国営企業である。
 同社は主にアップル向けにパネルを供給し、iPhoneの売上拡大に合わせて同社の業績も伸び、発足から約2年で上場にこぎ着けた。しかし、売上げの半分をアップル1社に依存するという、かなり極端なビジネスモデルが裏目に出た。iPhoneの売上げ鈍化に比例して業績が急降下。赤字は2期連続となり、株価は上場時から5分の1まで下がっている。

 そのような中、2016年9月21日には、世耕経済産業大臣が、業績不振が続いた場合には、海外企業などに株式を売却する可能性があると発言。24日には同社の資金繰りが悪化し、銀行団に500億円の融資を要請したとの報道が出ている。

 実は、同社は先月にも資金繰りが不安視され、決算発表の場で、産業革新機構から全面的な支援を得ていると釈明したばかりだった。
 同社の2015年3月期決算は123億円の赤字、2016年3月期の決算は318億円の赤字となっており、直近の2016年4~6月期決算においても、すでに117億円の赤字を計上している。出血はまだ続いていると見た方がよいだろう。

 もっとも、6月時点における同社の自己資本比率は39.2%と比較的高く、とりあえず636億円のキャッシュを保有している。今すぐに資金繰りが付かなくなるというわけではないが、資金的な余裕がないのは事実だ。このまま赤字を垂れ流す状況が続いた場合、存続が危ぶまれる事態に陥る可能性はゼロではない。

 ディスプレイ・デバイスの市場は、アップルが一部機種に有機ELの採用を決定したことから、有機ELに対する先行投資競争となっている。この分野は韓国勢が完全にリードしており、JDIは完全に出遅れている。先行投資どころか、日々のキャッシュに対する不安が出てくる状況では、有機ELへの本格シフトは難しい。

 もう一度、巨額支援を行って、体力勝負の戦いを続けるのか、何らかの形で見切りを付けるのか、政府が選択を迫られる日は近いだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

tanker
ウォール・ストリート・ジャーナルが日銀に原油を買えと大胆提案!

 米経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が日銀に対して面白い提言を …

kosokudoro02
高速道路無料化は永久に無理?高速3社が老朽化対策に10兆円必要との試算

 高速道路3社(東日本、中日本、西日本)は4月25日、高速道路の老朽化対策に関す …

gekyutoki
GEが家電部門を売却交渉。金融部門の分離に続いて、インフラ事業への集中が加速

 スウェーデンに本社を置く、欧州の家電大手エレクトロラックスは2014年8月14 …

itochu
伊藤忠が取り組む業務朝型化の本質は、フレックス制度の廃止にある

 伊藤忠商事は8月2日、社員の朝型化を目指して、勤務体系の見直しを行うと発表した …

shutoko
笹子トンネル事故が、抑制されてきた公共事業再開の大義名分になる可能性

 中央自動車道の笹子トンネル事故をきっかけに、これまで抑制されてきた公共事業がな …

tenanmon
中国にとって日本は最大の投資家。尖閣問題は対中投資にまったく影響を与えていない

 中国商務省は5月16日、4月における海外から中国への直接投資は前年同期比0.4 …

setsubitousi
11月の機械受注は回復見られず。10~12月のGDPも厳しい状況か?

 内閣府は2015年1月15日、11月の機械受注統計を発表した。主要指標である …

seisansei
あまりにも低い日本の生産性。労働経済白書が示す衝撃的な現実

 厚生労働省は2016年9月30日、2016年版の労働経済白書を公表した。日本の …

rikokyoupolson
李克強氏の経済改革プランが始動?保守派である習近平氏との違いが早くも表面化

 国務院総理(首相)に内定している李克強副首相が、就任後の経済改革に向けてはやく …

suga
消費税を巡る発言が活発化。だが基本的にはオンスケジュールで増税か?

 10月ともいわれる消費増税の決定時期が着々と近付いてきていることから、消費税を …