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電通の広告不正問題。AI社会になれば解決するが、その時に代理店は必要ない?

 

 広告代理店最大手の電通は2016年9月23日、インターネット上の広告に関して不正取引があったと発表した。不正の対象となった広告の総額は2億3000万円に達するという。不正が行われたのは、運用型広告と呼ばれるものだが、これはどのような仕組みになっているのだろうか。

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 従来のネット広告は、同一の広告を一定期間、同じ場所に掲載したり、所定のクリック数に到達するまで、広告の表示を続けるといった形式が多かった。しかし、こうした従来型ネット広告の比率は年々低下しており、最近では広告を動的に配信し、都度オークションで価格を決定する運用型広告の割合が高まっている。

 運用型広告は、検索エンジンで入力されるキーワードに連動させたり、想定顧客の属性に合ったサイトの広告枠をパッケージングするといったやり方で、広告主が望む利用者に広告が到達するよう、システム的に広告を管理する。

 サイトの利用者は普段何気なく広告を見ているが、ページが表示されるたびに、ウラでは広告のシステムが動いており、広告枠をめぐって入札が自動的に行われている。

 運用型広告の場合には、広告の配信状況を見ながら、広告主は、常に入札価格を変えていく必要がある。価格が高いと確実に配信されるが、予算をたくさん使ってしまう。逆に安すぎると費用は抑制できるが、配信数は減ってしまうので、このあたりのバランスが腕の見せどころとなる。電通はこの作業を広告主から請け負っていたものと思われる。

 電通は、担当者の力量不足から、うまく配信調整ができず、故意にレポートの中身を改ざんする結果になったことを認めている。予定通りの配信ができなかったにもかかわらず、顧客には事実を説明せず、報告書の内容を改ざんしたわけだ。

 ビジネス倫理という点では電通には釈明の余地はなく、再発防止策の策定が求められるが、技術的にはこうした問題はすぐに解決する可能性が高い。
 IT各社は、人工知能を使った最適な広告配信システムの開発を行っており、近い将来、代理店の担当者がいなくても、最適な配信が実現できるようになる可能性は高い。

 現在の広告代理店は、広告に関する面倒な作業を請け負う代わりに高い手数料を徴収するビジネスである。今回の事件をきっかけに、広告業界の付加価値についても議論される可能性が出てきたといえるだろう。
 広告のAI化が実現した場合、果たして広告代理店は現在の付加価値を維持できるのだろうか。広告代理店は自らの存在意義を広告主に示していく必要に迫られるだろう。

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