ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

高速増殖炉もんじゅは廃炉にするも、あたらな高速炉の開発計画が浮上

 

 運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」について、政府が廃炉に向けて動き始めた。一方、核燃料サイクルについては維持する方針を明確にしており、あらたに高速炉の開発を行う計画も打ち出した。核燃料サイクルは、増え続けるプルトニウムを燃やすという消極的なスタンスで、計画が維持される可能性が高まってきた。

monju

 政府は2016年9月21日、原子力関係閣僚会議を開き、現在、運転を停止している高速増殖炉「もんじゅ」について、廃炉を含めた抜本的な見直しを行う方針を固めた。しかし、同時に「高速炉開発会議」の設置も決定し、核燃料サイクルを維持する方針を明確にした。

 現在の日本では、核燃料サイクルの中心となるもんじゅが運転を停止していることに加え、青森県の六ケ所村に建設した再処理施設もトラブル続きで稼働できていない。全国の原子力発電所から出てくる使用済み燃料はフランスに再処理を委託している状態であり、フランスから返却されたプルトニウムを燃やす炉がない。このままではプルトニウムは蓄積される一方であり、米国はこれを問題視し始めている。

 もんじゅは核燃料サイクルのカギとなる施設なので、これを廃炉にしてしまうと核燃料サイクルそのものを断念せざるを得なくなる。政府はこれを避けるため、増殖は目指さない形で高速炉の開発を継続し、最終的には高速炉を使って余ったプルトニウムを燃やすという方向に舵を切った。

 ただ、もんじゅ以外の開発は行われていないことから、現実にはフランスが開発中の高速炉ASTRIDを共同開発するという形でプロジェクトを継続する可能性が高い。フランスも日本と同様、核燃料サイクルの確立を目指していたが、事実上、これを断念している。
 新型高速炉のASTRIDは積極的なプルトニウムの増殖は目指さず、既存のプルトニウムの消費を念頭に置いた炉である。日本の核燃料サイクルも同じような形を目指すことになる。

 フランスは核保有国であり、プルトニウム・サイクルを保有しているメリットがあるが、核兵器を保有していない日本の場合には、多額のコストをかけてサイクルを確立・維持する必要性は薄い。また独自開発ではなくフランスに依存という形式では、技術の蓄積という観点からも疑問が残る。

 すでに多額の予算を投じてしまっていることから、核燃料サイクルは一種の利権になってしまった感がある。単なる予算の維持が目的ではないということを示すためには、新しい開発計画の意義について、もっとオープンに説明する必要があるだろう。

 - 政治, 社会, IT・科学 , , ,

  関連記事

kaimono
これは悪いインフレの兆候?4月の消費者物価指数は庶民にとってトホホな内容

 総務省は5月31日、4月の全国消費者物価指数を発表した。生鮮食料品を除く総合指 …

intelbaytrail
インテル1~3月期決算。データセンター好調も、IoTはまだまだ途上

 半導体世界最大手の米インテルは2015年4月14日、2015年1~3月期の決算 …

kakugikoukai
閣議公表が実現できたのは閣議形骸化が進んでいるから?だが立法は行わず

 安倍首相は、2014年4月から閣議と閣僚懇談会の議事録を作成し、これを公表する …

bbcclass
英国で新しい「階級」区分が話題に。だがその内容は少々脱力系

 現代でも階級制度が色濃く残る英国において、新しい「階級」区分がちょっとした話題 …

abeobana201404002
政権内部から相次ぐオバマ大統領への批判。中国への意図せざるサインになる可能性も

 日米首脳会談終了後、とりあえず共同宣言をまとめることができたものの、日米間のギ …

letta
イタリア大統領がレッタ氏を首相に指名。欧州市場は安定に向かう可能性が高くなってきた

 混迷するイタリアの政局に終止符が打たれる可能性が出てきた。退任予定だったナポリ …

buffett
著名投資家のバフェット氏が訪中。改革派のホープ汪洋副総理と会談

 国営新華社など中国のメディアは、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が5月 …

toyotaeco
トヨタが戦略を大転換。2020年までに電気自動車量産開始でガラパゴス化を回避

 トヨタが2020年までに電気自動車(EV)を量産する方向で検討を開始したことが …

saieibun201601
台湾総統選挙で民進党が圧勝。議会も過半数となるのは分離以後初めて

 台湾で2016年1月16日、総統(大統領)選挙が行われ、野党・民進党の蔡英文主 …

kanntei
政府、財界、労組による賃上げ協定構想が浮上。だが内容は賃下げを狙ったものだ

 労働者の賃上げが実現できるように、政府、経済界、労働組合の3者で協定を結ぶ構想 …