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IoTに関する産学官協議会が米国勢に合流。最悪のガラパゴスは回避したが・・・

 

 あらゆるモノをインターネットにつなげる「IoT」の分野において、日本勢が米国勢に合流する。IoTについて日本は完全に出遅れており、独自の事業展開は難しい状況だった。米国勢への合流は現実的な判断といってよいだろう。

iot

 日本においてIoTの共同研究を行う産官学の協議会「IoT推進コンソーシアム」は、米国の共同研究組織と、国際標準の策定などに関して相互に協力する方向で最終調整に入った。近く基本合意に達する見込み。

 現在、製造業の分野では、あらゆる機器にセンサーやネット接続機能を搭載し、これらをすべてネット上で統合することで高度なサービスを提供しようという試みが進んでいる。すべてのモノがネットにつながるので、こうした一連の仕組みをIoT(モノのインターネット)と呼ぶ。

 IT化においてもっとも重要となるのは、国際的な仕様の標準化だが、この分野ではドイツと米国がリードしている。ドイツでは製造業大手のシーメンス、ボッシュ、IT大手のSAPなどが参画する「プラットフォーム・インダストリー4.0」が立ち上がり、一方の米国では、GE(ゼネラル・エレクトリック)、IBMなどが参画する「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」が設立された。

 両団体とも技術使用の標準化などを独自に行っていたが、2016年の3月に両団体が連携し、仕様の摺り合わせを行う事について合意した。ドイツと米国というIoTの2大勢力が事実上の統合に向けて動き出したことで、国際的な標準化に一気に弾みがつく可能性が高まってきた。

 一方、日本はこの分野ではかなり出遅れていた。2015年10月に産官学の協議会である「IoT推進コンソーシアム」が設立されたが、すでに米独に対抗できる状況ではなかった。このままでは、米独がすべての主導権を握ってしまう可能性が高く、日本が米国の団体に合流するというのは現実的な判断といってよいだろう。

 ただ、米国と独の団体では、かなりの部分において標準化作業が進められており、日本勢の意向がどれだけ反映されるのかは不透明だ。国際標準が確立すると、あらゆる部品や産業機器は、国際標準に従って設計や開発を実施しなければならない。日本独自の仕様が通らなくなる可能性があり、場合によっては競争力が大幅に低下するリスクがある。

 米国勢への合流によって最悪のガラパゴスは回避できたが、今後は、日本勢の仕様をどれだけ国際標準の中に盛り込めるのかが、カギとなるだろう。

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