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差別でよく議論になる「意図はなかった」という論理は通用するのか?

 

 このところ差別に関するニュースが立て続けに報道されている。日本では、差別の定義や差別に対する考え方について、社会的なコンセンサスが得られているとは言い難い。最大の問題は、日本人の論理が曖昧であることを、自身が認識していないことかもしれない。

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 大阪のすし店「市場ずし 難波店」(大阪市中央区)で、外国人客に大量のわさびを入れていたことが指摘され、チェーン展開する藤井食品は2016年10月2日、Webサイト上で謝罪した。同社ではメディアの取材に対し「差別の意図はなかった」と説明している。

 今度は、南海電鉄において「本日は外国人のお客さまが多く乗車し、ご不便をお掛けしております」とアナウンスしたことが報じられた。アナウンスした車掌は「差別の意図はなかった」と釈明しており、同社では「客を区別するのは不適切」として車掌を口頭で注意している。

 こうしたケースで議論となるのは「差別の意図の有無」である。市場ずしの場合には、外国人客向けにはわさびを増量していたことは認めており、行為そのものに問題があったという認識ではないと考えられる。
 同社のWebサイトを見ても、「事前確認なしに提供したことが(中略)不愉快な思いをさせてしまう結果となってしまいました」と説明している。「差別の意図はなかった」という会社のコメントからも分かるように、行為そのものよりも、差別の意図があったかどうかが重要と考えていることが分かる。

 一方、南海電鉄の場合には、車掌本人は「差別の意図がなかった」との説明をしているが、会社側は、区別するという行為が不適切であるとして口頭注意にしている。つまり会社側は、意図の有無ではなく、行為そのものに問題があったと認識していることになる。

 一連のケースに対する日本人の反応を見ると、外国人という理由で区別するという行為そのものが問題だという指摘と、差別する意図がないのだからそこまで責める必要はないとの意見に大別できる。

 国際社会において、外国人差別が指摘されるケースでは、意図の有無ではなく、外国人という理由で区別されたという行為そのものが問題視されることがほとんどだ。つまり、国際社会では差別の意図の有無以前に、行為そのものが批判の対象になる。意図がなければ、差別にはならないという考え方は基本的に受け入れられないと思った方がよいだろう。

 もし日本国内のルールが国際社会とは別ということであるならば、それについてしっかりと諸外国に説明しなければならない。だが諸外国から差別を助長するとレッテルを貼られても、それを押し通す勇気や能力はほとんどの日本人にはないだろう。
 そうであれば、意図ではなく行為について問題視されるという現実を受け入れ、そのルールに従うよりほかはない。

 米国の大統領選挙を混乱に陥れている共和党のトランプ候補は差別する意図を持って差別している。政治家として許容されない発言ばかりだが、少なくとも差別する意図を本人は持っており、交渉することはできる相手だ。
 だが本人は差別する意図を持っていないという「意図せざる差別」は非常に危険である。論理が通じないので、交渉にならず、場合によっては最悪の結果を招く。

 年齢、性別、人種、宗教、肌の色などで顧客の扱い方を変えるというのは、意図の有無には関係なく、差別につながる可能性があるということを日本人は強く認識する必要があるだろう。

 - マスコミ, 社会

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